『ロボット解体新書 ゼロからわかるAI時代のロボットのしくみと活用 (サイエンス・アイ新書)』2017/2/16
神崎 洋治 (著)
ロボットの最新情報(2017年)を総合的に知ることが出来る入門書です。内容は次の通りです。
第1章 ロボットの定義と種類
第2章 ロボットの活用
第3章 ロボットの基礎技術
第4章 ロボットのソフトウェア
第5章 さまざまなロボット
第6章 ロボットと人工知能の連携
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専門的な部分にはあまり詳しく踏み込まず、一般の人向けに、ロボットに関する最新情報を広く浅く紹介してくれている感じでした。
ただし、ソフトバンクモバイルの窓口などでもおなじみの人型ロボット「Pepper」に関しては、かなり詳しく紹介されています。「第3章 ロボットの基礎技術」でも、Pepperの仕様から始まって、頭部にどんなセンサーが組み込まれているか、脚部はどうなっているか等が、イラストや写真とともに解説されていました。例えば脚部は二足歩行ではなく、「オムニホイール」と呼ばれる方式を採用しているそうです。3個のボールを内蔵していて、それぞれのボールをコントロールして前後左右360度、どの方向にも移動できる方式です。二足歩行は直立して立っているだけでもバランスをとるのに電気が必要となり、大容量バッテリーを積んでいても稼働時間が著しく短くなるので、二足歩行は諦めたのだとか。Pepperは高性能ロボットのなかでは最も身近にいるロボットなので、これらの内部構造は、とても興味深かかったです。
「第4章 ロボットのソフトウェア」では、「ROS(ロス)」、「NAOKiOS(ナオキ・オーエス)」、「V-SidoOS(ブシドー・オーエス)」などが知られていることが簡単に紹介されていました。例えばV-Sidoは、ロボットのバランスや手足の動きなど、文字通り「オペレーション(操縦や運転)」を制御するソフトウェアなのだそうです。
個人的には、ラズベリーパイ(注:主に教育用に使われているシンプルなOS)とロボットの組み合わせに興味を惹かれました。ラズベリーパイを使ったマイクロマウス・ロボット「Raspberry Pi Mouse V2」(株式会社アールティ)などの製品もあるそうです。ラズベリーパイを使ったロボットの工作キットなどを、いろいろ発売して欲しいと思いました。
ロボットを活用した身近な商品としては、自動掃除機ルンバが、AIを活用した身近な商品としては、AmazonEcho、Google Homeなどのスマートスピーカーが、すぐに思い浮かぶと思います。すでに家庭にも、どんどん入り込んできているんですよね。ロボットやAIの技術の進歩スピードはすごく速いので、今後も、ロボット+AI(+通信)の製品が続々発売されていくことでしょう。なんだか、わくわくしてしまいます(笑)。もっともセキュリティやプライバシーに不安があるので、ロボット+AI+通信ではなく、ロボット+AIだけの方が嬉しいとは思いますが……(「+通信」はOSなどのアップデートのために必要だとは思いますが、私としては、出来れば、通常は遮断状態で、意識的に「一時的に接続する」という使い方をしたいと思います。)
AI時代のロボットの現状を概観するのに役に立つ本でした。読んでみてください。