『今日がもっと楽しくなる行動最適化大全 ベストタイムにベストルーティンで常に「最高の1日」を作り出す』2021/7/8
樺沢 紫苑 (著)

 仕事においても健康においても最適な1日を過ごすために必要な行動のやり方を具体的に教えてくれる本です。
 二部構成になっていて、前半の第1部は、見開きページのイラストと短い文章で、行動の最適化を簡潔に教えてくれるもの。ぱっと見ただけで、行動改善方法のエッセンスが学べるので、直感的に分かりやすいだけでなく、復習をするときも見たいページだけを見ればいいので、とても効率的だと思います。
 後半の第2部は、論文や学術データのエビデンスをもとに文章で行動の最適化を教えてくれるもの。こちらは行動最適化に結びつく理由なども説明してくれるので、より深く理解できるとともに、納得した上で行動の最適化を始められます。
 特に感心したのが「イラスト+短い文章」の第1部。見開きページにぱらっと書いてあるだけなので、内容が薄いのかと思いきや……行動最適化のエッセンスがきちんと並べられていて、さすが「時間の使い方」に関する本も書いている樺沢さんらしい素晴らしい構成と内容だと思います。
 第1部の一部を紹介すると次のような感じ(これにイラストがついています)
「ちょっとした「休憩のとり方」で効率が変わる」
1)脱スマホで目を休める
2)ちょっとした会話は最高の癒し
3)1時間座り続けると平均余命が22分間短くなる
「効率を上げるには「休むタイミング」が大切になる」
1)50分仕事、10分休憩がベスト
2)忙しい時はちょっと立って仕事を行う
3)単純作業は25分仕事、5分休憩が効果的
 ……などなど。
 ちょっと驚いたのが、「日々たまっていく「疲れ」をとる方法」の「疲れた時には運動せよ」という教え。
「日々たまっていく「疲れ」をとる方法」
1)疲労を回復する睡眠法は、睡眠2時間前までに食事を終え、90分前までにお風呂から上がる
2)疲れたときは休むのではなくジムで運動する
 ……疲れたときは、なんと「運動」した方がいいそうです。運動すると疲労が回復するのだとか。その理由は……
1)成長ホルモンが分泌される
2)睡眠が深まる
3)血流が改善し疲労物質が押し流される
4)ドーパミン、セロトニンが整い精神的疲労が回復する
5)コルチゾールが低下しストレスが発散される
 ……だそうです。なるほど……私自身の経験を思い出してみても、ちょっと具合が悪いときでも、あまり無理はしない程度に運動した方が、夜にぐっすり眠れるので、回復が早いと感じていました(笑)。
 もちろん運動は、健康のためにもいいそうです。「運動強度はやや強度の高い有酸素運動を30~45分。筋トレと組み合わせると、さらに成長ホルモンが分泌される」のだとか。
 また「昼休みの最適化」としては、「脳と身体をリフレッシュさせる外食ランチ」が効果的だそうです。その理由は、場所を変えるだけで海馬の「場所細胞」が活性化するとか、記憶力・集中力を高めるドーパミンは10分のウォーキングでも分泌されるとか、自然と接することでリラックス効果とストレス発散効果が得られるなどで……昼休みに「外食ランチ」をすると気分転換にもなるので、これもとても良い方法だと感じました。
 ただ……「多くの人に愛されている「コーヒーの飲み方」の正解」は……
1)がんや心臓疾患などのリスクを減らす
2)朝、休憩時、運動前、運転中に飲むのがよい
3)コーヒーを飲んでいいのは14時まで
 ……ということだったのですが、私としてはコーヒーは15時や夕食後にも飲みたいので……うーん、これは困ったなー……。えー……あ、この「14時まで」は正しい睡眠がとれていない人へのアドバイスのようなので、まあまあの睡眠がとれている私としては、とくに守る必要はないと判断させていただきます……。
 ということで、アドバイスのすべてを守るつもりはありませんが、これらのアドバイスの8割ぐらいはすでに実施済だったので安心しました(笑)。全体としては、とても合理的で実践的なアドバイスだと思います。
 この他にも「緊張してきた場合は「ワクワクする」「ワクワクしてきた」と言う」とか、「過度の緊張を防ぐ最も簡単で最も効果的のある方法は「姿勢を正す」こと」など、参考になるアドバイスが多数あります。
 起床から入眠まで一日の「行動最適化」を実践的に教えてくれる本でした。作業効率が悪い、疲れがとれないなど自分の身体や行動をもっとよくしたいと考えている方は、ぜひ読んでみてください。改善のためのヒントを拾えると思います。
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