『雨漏り修理のプロが教える 屋根 ・外壁のメンテナンス: 我が家の補修で失敗しない方法』2020/7/30
雨漏り110番グループ (著, 編集), 唐鎌 謙二 (著), 藤田 裕二 (著), & 2

 住宅の補修実績を多数有する日本最大の雨漏り職人集団「雨漏り110番」が、外壁・屋根を中心とした住宅メンテナンスについて、悪質業者に騙されず、お得に工事を発注するために必要な知識を公開してくれる本です。
 驚いたのが「第1章 失敗しない住宅メンテナンスの心得」にあった「悪徳業者の見分け方」。工事業者を選ぶ際の判断基準としては、工事の実績、会社の概要、修理料金、担当者の人柄などがありますが、「建物診断や雨漏り調査を無料でやる業者には注意してください」なのだとか! これは「雨漏り調査を軽視している証拠」なのだそうです。
「雨漏り調査の見積書を出すことこそが雨漏り解決の第一歩。雨漏りの原因がわからなければ雨漏りは直しようがありません。」……確かに。これはお医者さんと一緒だそうで、診察せずに治療できる医師はいないし、診察代無料の医師はいないのと同じなのだとか。
 また、とても参考になったのが、悪徳業者をあぶり出す魔法の言葉「3件分の報告書を見せてもらえますか?」。具体的には、「個人情報に触れない範囲で構わないので、御社が過去に施工した物件のなかで、私が依頼する予定の工事に内容が近い(似ている)物件の工事報告書を3件分見せてもらえますか?」と頼んでみること。これでその業者の信頼性が分かるそうです。
 さらに「施主の心得」として、次の3つを教えてもらえました。
1)じっくり時間をかけて検討する(工事金額5万円あたり1日以上の時間をかけることを意識する)
2)3社から見積もりをとる
3)決断を1日だけ延ばす
 とにかく、じっくり考えることが大事だそうです。このうち2番目のは、「有料診断」を積極的に受けることにもつながるし、工事について様々な角度で検討したり知識を深めたりするのに役立つので、とてもいいアドバイスだと感じました。
 また、実際に住宅のメンテナンスを行うことを考えている人に、とても役立ちそうなのが、「第2章 住宅メンテナンスの基礎知識」。ここでは、「屋根の種類」、「外壁の種類」と、その「メンテナンスのポイント」を具体的に説明してくれます。この「メンテナンスのポイント」は、実際に、自分の住宅の屋根や外壁のことを考えながら読むと、参考になることをたくさんつかめそうな気がします。
 さらに「第3章 住宅メンテナンス失敗事例と解決策」。実際に起きた失敗ケースの事例を見ることができました。読んで良かったと思ったことは、「雨漏り修理」は「水を入れない・漏らさない」だけでなく、「水を逃がす」ことも大事なんだなーと痛感させられたこと。
 例えば木造編の「Case2.飛び込みセールスの言うままに瓦屋根の補強をしたら家中が雨漏り」では、「瓦の隙間を塞いだら雨水の逃げ道がなくなるので要注意」ということを知りました。和瓦は波型の重なり部分から瓦の裏側にまわった雨水を排出するので、単純に防水処理をすると、かえって雨漏りしてしまうことがあるそうです。
 また「鉄骨造(S造)・鉄筋コンクリート造(RC造)編」の「Case6.今まで雨漏りしていなかったのに、屋上防水工事をしたら雨漏りした」では、「防水処理はうまく出来たものの、それが意図せず水の逃げ場まで防いでしまったために雨漏りが発生した」というもの。「雨漏り」というと、水が「入る」方にばかり気をとられがちでしたが、「逃がす」ことも忘れてはいけないんですね。
「屋根・外壁のメンテナンス」は、工事費がとても高額になるのに、いつ・どのようにやったらいいのか、素人にはあまり分からないのが現状だと思います。それを知りたい方、自宅のメンテナンスが気になっている方は、ぜひこの本を読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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