『防災イツモマニュアル』2020/8/19
防災イツモプロジェクト (編集), 寄藤 文平 (イラスト), プラスアーツ

「イツモ」できることが詰まった本当に役立つ防災マニュアルです。(なお、この本は『地震イツモマニュアル』(単行本2016年8月、文庫2019年8月、ポプラ社刊)の内容を大幅に加筆修正し、タイトルを変えたものだそうです。)
「防災」への備えというと、「いつか来るかもしれない非常時のために」というイメージがありましたが、考えてみれば、地震はともかく、地球温暖化の影響なのか、台風のような風水害が毎年のように襲ってくるようになって、今はまさにコロナという感染症との戦いの中(2020年)にいる現在、この『防災イツモマニュアル』は、参考になることが満載でした。
 特にいいな、と思ったのが、「在宅避難が、これからの防災のカギになる」ということ。
 コロナの問題で明らかになってきた避難所の衛生問題、栄養問題、ストレスなどを回避するために、自宅を避難所にしようというのです。しかもこれは、自分たち家族だけでなく、他人のためにもなるのだとか。
「避難所に入る人数を減らせば、本当に必要な人にゆとりをあげられる。在宅避難で家族を守るとき、地域の誰かのことも、助けているのです。」
 その通りですね☆
 でも、自宅を避難所にするためには、自宅が「安全な場所」であることが前提条件です。
「1 最初に確認しよう!家の安全」には、「避難所にできる家を持つ」ために、自治体のハザードマップを確認すること(土砂災害警戒区域、浸水想定区域の外か)が書いてありました。
 そして、新築の場合は、「長期優良住宅」の認定を受けた家か、「フラット35」の技術基準仕様の家かどうかを確認する。中古の場合は、現地調査で安全性のチェックをする「既存住宅状況調査技術者」による調査を受ける(「住宅瑕疵担保責任保険協会」の公式サイトから探すとよい)、などを行うと良いようです。
 また「9 本当に役立つ防災グッズ」には、ふだんも使えるものを多めに買っておく、ローリングストックする、などが書いてありました。
 ちなみに「家に置いておく「在宅避難用」グッズ」としては、以下のものが勧められています。
1)ランタン3個以上(リビング、キッチン、トイレに)
2)ポリ袋(大200、中・小各50)
3)体拭きウェットタオル(12枚入り10パック)(1か月分)
4)口腔ケア用ウェットティッシュ(100枚入りボトル7本)(1か月分)
5)カセットボンベ15本(1か月分)
6)非常食 84食(7日分)
7)水 2リットル6本入り箱を5箱(7日分)
8)クーラーボックス1個
9)新聞紙 朝刊10日分
10)ラップ(ロングタイプ7~8本)※食器に被せて使うと、洗う水が節約できる
11)携帯トイレ140個(7日分)
12)携帯ラジオ(電池も)
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 ふだん自分で備蓄しているより、かなり多めの量でしたが、「在宅避難」のためには、やっぱり、これぐらいは必要なんですね(汗)。ポリ袋などは、怪我で出血した人を手当てする時に、自分に血がつかないように手にはめて使うという方法も紹介されていて、すごく参考になりました。それに、使用済み携帯トイレの保管用としても、たくさん準備しておくにこしたことはないようです。
 この他にも「リュックに入れておく避難用グッズ」とか、「持ち歩き用グッズ」、「高齢者用グッズ」、「乳幼児用グッズ」、「ペット用グッズ」など、役にたちそうなリストがたくさんあります。
 さらに「車中泊のおすすめグッズ」や、「テント泊のテント泊のおすすめグッズ」には、「洗濯ひも、テープ」など、自分では準備していなかったグッズもあって、自分の装備品を見直すのに役立ちそうです。
 普段から、たまに家族でキャンプなどを楽しんでいると、いろんな意味で防災の時にも困らなくなるかも。お金持ちなら、キャンピングカーを持つのもいいかもしれません。家族専用「避難所・備蓄庫」としても便利に利用できそう。
 防災「イツモ」。「日本で暮らすということは、災害と一緒に生きていくということ。」……本当に、そうですね。
 感染症などへの対策も考慮した新しい『防災マニュアル』です。みなさんも、「在宅避難」を目指して、自分の備蓄品や生活(ローリングストック)を見直してみませんか。ぜひ一度、読んでみてください。お勧めです☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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