『便利な折り紙こもの (レディブティックシリーズno.4986)』2020/5/18
寺西 恵里子 (著)

 器、箱、ケース、ギフトラッピング、ポチ袋、箸袋など、紙を折って作る小物をたくさん紹介してくれる本です。
 すべての折り方を写真で解説してくれるので、途中の工程の立体作業も分かりやすいと思います。最初に「完成写真」、次に「必要な折り紙の大きさ」、そして「折り方の手順の説明」があります。すべて写真で説明されているだけでなく、必要な個所には折り線や切り線、矢印などが書き込まれています。

 正直に言って、この本を最初に見た時、同じようなタイプのケースやバスケットがたくさんあり過ぎるので、代表的なものだけでいいんじゃないかなーと思ってしまいました。それに、表紙の写真を見て分かる通り、箱やカバーなど直線で簡単に折れるものがすごく多いので、小物だけでなく動物とかの折り紙もあった方がバリエーションが増えて、もっと良かったんじゃないかなー……なんかどの作品も単純すぎるような、と感じてしまいました(汗)。
 でもよく考えてみると……初心者やお子さん、楽しいリハビリをしたいお年寄りのためには、こういう「簡単なのに使える小物が出来る折り紙の本」が一番役に立つのかもしれません。
 なぜなら、どの作品も「直線」が基本になっているので、折っている部分が完成作品のどこになるのかが直感的に分かりやすく、すごく作りやすいのです。折り紙を折ったことがある方には分かると思いますが、折り紙は、折り線を表側にしたり裏側にしたり一部を折り返したりして作っていくので、単純な動物を折るだけでも意外に分かりにくくて、難易度の高い作品だと、折り方写真を参考に何度も何度も試行錯誤して、ようやくなんとか似たようなものが出来上がる……ということが多いのです(汗……私だけかもしれませんが)。
 でもこの本で紹介される作品は、箱や袋など、完成作品の形がそもそも単純なので、初心者でも作りやすいものが多い上に、必ずしも折り紙でなくても包装紙やチラシなどでも作ることが出来るものばかり。だから、工作に不慣れなお子さんが初めて折るのにも、病気療養中でリハビリのために軽い手作業をしたい人にも、楽しい脳トレをしたい高齢者の方にも、向いている作品がすごく多いと思います。
 しかも完成した作品が、お菓子を食べるのに使えたり、植木鉢を隠すのに使えたりと、便利に使えるものになるのも嬉しい☆
 もっとも、すべての作品が難易度が低いわけではなく、可愛い「桜箱(上のつまみの形が桜の花びらになっている六角箱)」など、ちょっとだけ難しい作品もあるので、折り紙が得意な人にも楽しめる作品があります(この作品など、一部の作品は「はさみ」も使います)。
「ハートのバッグ」というハート形の袋は、バレンタインの時に、小さいチョコを入れて配るのに使えそう。手紙をハート形に折る「ハートレター」という作品もあります。
 小さいお子さんがいるご家庭なら、ハロウィンの前に「テトラBOX」をお子さんと一緒に作って、お菓子を入れて友達に配ると楽しいかも。
 初心者向けの折り紙の本を探している方は、ぜひ眺めてみてください。
 ただ……この本は「箱」や「袋」ばかりなので、もっと他のものも欲しいという方は、同じレディブティックシリーズの『折って使える! 実用折り紙百科 新装版』の方がいいかもしれません。こちらには、箱や袋の他、季節飾りなどもあり、よりバリエーションが豊富です。
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