『自然界の秘められたデザイン: 雪の結晶はなぜ六角形なのか?』2015/10/21
イアン スチュアート (著), Ian Stewart (原著), 梶山 あゆみ (翻訳)

 数学者のイアン・スチュアートさんが、雪の結晶を通して、自然界の形や模様にひそむ規則性と法則を数学で考察してくれる本です。
「降りしきる雪の結晶を顕微鏡でのぞくと、みな同じようでいて、それでいてどれとして同じものはない。正六角形のようでありながら、よく眺めると木の枝のように複雑だ。単純な法則に支配されているように見えながらも、無限の多様性と複雑さを秘めた雪の結晶の美しさは、どうして生まれたのだろうか?」
 雪の結晶には、規則性と無限の多様性がまじりあっています。一滴の水も、森も、そして宇宙も……規則性のあるものとないもの、一様なものと多様なものが、いたるところで混ざりあう……その裏にあるメカニズムは何なのでしょうか……自然界の形や模様の不思議さ、その背後にあるものを解き明かそうとする数学の世界に、人気サイエンスライターでもあるスチュアートさんが、優しく道案内してくれます。
 シマウマの縞、砂丘や波の形、貝殻の模様、惑星の軌道……その形の謎を解き明かそうとしていくうちに、対称性やフラクタル、カオスなど、自然界の美を支配する数学的秩序が垣間見えてきます。……正直に言って、すべてが理解できたわけではありませんでしたが(汗)、自然界の不思議を数学で解き明かそうという試みに、読んでいて子供のようにわくわくさせられました(笑)。
 惑星の運動の研究したケプラーさんは、雪の結晶の謎に挑み、雪の結晶で「六角形が選ばれているのは、形をつくるうえでの物質の必要性にもよっている。六角形にすれば隙間が生じないため、水蒸気を集めて雪を形づくる作業がより順調に進むからである」と見抜いたとか。蜂の巣が六角形をしているのも、同じ理由によるようで、「宇宙は根本的なところでは単純な規則に従っている」のだそうです。
 それからさらに進歩した現代の科学は、雪の結晶のシダの葉模様が出来る一番の原因を、「先端分岐」という現象が起きるためだとしています。温度と湿度が特定の組み合わせになると、平らな表面が力学的に不安定になって隆起が出来て、それが成長するにつれ、また不安定になって隆起が出来て……を繰り返してシダの葉が出来ていくそうです(フラクタル)。
 美しくて繊細な雪の結晶は、私たちの世界を象徴しているんですね……世界には規則性と多様性に溢れている……雪の結晶はだいたい六角形に見えるけど、そこに繊細な樹上突起があるからこそ、美しく煌めいているのでしょう。科学の進歩とともに、天気予報はかなり的中率を増してきているけれど、完全に的中させることが非常に困難なのも、この「規則性と多様性」によるものなのでしょう(カオス)。
 鉱物の結晶の形、花の形、波の描く模様、宇宙に輝く星……規則性だけでなく、多様性があるからこそ、世界はこんなにも美しくて魅惑的なんですね☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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