『トコトンやさしい建築材料の本 (今日からモノ知りシリーズ) 』2019/10/18
大垣 賀津雄 (著), 大塚 秀三 (著)
伝統的な材料から最新のものまで、多種にわたる建築材料について、材料ごとの特徴や使われ方、施工作業などを解説してくれる本です。目次は次の通りです。
第1章 建築材料とは
第2章 建築材料として使われる木材
第3章 さまざまな種類がある鋼材
第4章 建築に欠かせないコンクリート
第5章 建築を引き立てる仕上げ材料
第6章 建築の性能を高める機能性材料
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建築材料について、総合的に教えてくれる建築材料の入門書でした。それぞれの特徴はよくわかったのですが、商品の実物写真や価格などの情報もあると、もっと良かったのに……とちょっと思ってしまいました(汗)。
個人的に「へー」と思った情報には、次のようなものが。
「この(木材の異方性の)性質によって、柱材であれば、円周方向の収縮に伴う引っ張り力が作用し、最終的に柱の側面に沿って割れることがあります。これを防止するために、長さ方向に切り込みを入れ、円周方向の引っ張り力を開放させます。この切り込みのことを「背割(せわり)」と言います。」
……せっかくの綺麗な木材にわざと「切り込み」を入れるなんて、もったいないような気もしますが、乾燥するにつれて木材が割れてしまうのは自然なことなので、あらかじめ切り込みをいれておく方が合理的なのでしょう。
「耐候性鋼は、鋼を緻密な組織で生産して、表面に保護性錆びを形成するように調合された合金鋼です。鋼に耐候性元素の銅、ニッケル、クロムを添加することにより、鉄の弱点である錆を、自ら作り出す緻密な保護性錆びで抑制する特性を有しています。(中略)塗装せずにそのまま使用していくと、表面が錆びます。その表面錆びが比較的緻密で、腐食が内部に進行しない鋼材です。錆びの色は茶褐色で独特の美観を持っています。」
……鋼を「錆び」で保護するなんて凄く賢い方法ですね!
「ポリマーセメントモルタルとは、結合材にセメントとポリマーを用いたモルタルのことを指します。(中略)ポリマーセメント比が大きいと硬化速度は遅くなりますが、保水性、引張強度、曲げ強度、ひび割れに対する抵抗性、水密性、耐凍害性などの性能が向上し、ポリマーを混入していないセメントモルタルに比べて飛躍的に性能を向上させることができます。」
……ポリマーを混ぜたセメントなんてのが、あるんですね! 知りませんでした。
「強化せっこうボードは薄い材料ながら防火性能や耐火性能に優れる製品です。これは、せっこうボードが火熱に晒されると、せっこうに約20%含まれる水分が水蒸気となって放散され、温度の上昇を抑制するためです。」
……なるほど。強化せっこうボードは火事の時、水蒸気を出して温度上昇を抑えてくれるんですか。ただ燃えにくいだけじゃないだ……。
こんな感じで、さまざまな建築材料のことを総合的に教えてくれる本でした。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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