『図解入門 よくわかる最新プラスチックの仕組みとはたらき[第3版]』2019/9/28
桑嶋 幹 (著), 木原 伸浩 (著), 工藤 保広 (著)

 身近な工業用素材「プラスチック(合成樹脂)」の種類や特性、用途などを分かりやすく教えてくれる本(第3版)です。内容は次の通りです。
第1章 プラスチックとは何か
第2章 プラスチックができるまで
第3章 私たちの暮らしとプラスチック
第4章 産業で活躍するプラスチック
第5章 進化するプラスチック
第6章 プラスチックの課題と私たちの生活
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 プラスチックはとても身近な素材ですが、実はその正体をよく知っていないことに気づきました(汗)。正体を知らなくても、プラモデル作りに特に支障はありませんが、知っておくと工作にも何か参考になることがあるかも、と思って読んでみました。
 ……えー、読んでみても、特に「工作の参考」になったとは感じませんでしたが(汗)、いろんな「モノ」の正体をより深く知ることが出来たような気がして満足です(笑)。
 特に参考になったのは「第2章 プラスチックができるまで」。「プラスチックは、ポリマーと言われる非常に細長い分子でできて」いるそうで、そのポリマーはモノマーという単位がつながってできています。その「モノマーの手つなぎ方法(重合)」には、「1)付加重合:モノマー内部でつながれている手を、モノマー同士の手につなぎかえる方法(ビニル型、環型)」、「2)縮合重合:モノマーの端にある「ふた」をはずして、余った手同士をつないでいく方法)」があるのだとか。……きちんと理解できたわけではありませんでしたが、プラスチックの構造にはいろいろなものがあるんだなーということを知ることができました。
 なんと実は「生物」もポリマーでできているのだとか!
「生物というのは、水分と骨と塩分を除くと、そのほとんどがポリマーでできています。そして、そのすべてが縮合重合(しかも自己縮合重合)でできたポリマーです。タンパク質は、アミノ酸というモノマーが水を脱離しながら重合したものです。セルロースやでんぷんは、ブドウ糖というモノマーが、やはり水を脱離しながら重合したものです。遺伝子を作るDNAは、ヌクレオチドというモノマーが、これはリン酸を脱離しながら重合したものです。生物の多様性は、それぞれのポリマーを作るモノマーの多様性と、ポリマーになるときのつながる順番によって現れます。」
 このように、この本では、プラスチックについて総合的に教えてもらえます。
「第4章 産業で活躍するプラスチック」では、飛行機に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が使われているとか、コンクリートに入れる鉄骨の代わりにも使われることがあるとか、いろんな使用法を知ることが出来ました。
 工作好きの方には、接着剤の項目が参考になるでしょう。その概要は以下の通りです。
「接着剤(溶剤系接着剤=固まりくっつける役割を果たすプラスチックが溶剤に溶けているもの。エマルジョン系接着剤=固まりくっつける役割を果たすプラスチックが水に分子状になって分散しているもの。いずれも接着する場所に塗ったあとに、溶剤や水が揮発していくことでプラスチックが固まり、もの同士をくっつける役割を果たすもの。)」
 さらに「第5章 進化するプラスチック」には、「光によって固まるポリマー=光硬化性樹脂」、「気体を透過させないプラスチック」、「ペットボトルの凸凹の秘密」、「プラスチック製の人工血管」、「電気を通すプラスチック(導電性プラスチック)」、「3Dプリンター」など、興味深い記事が満載。プラスチックは、なんと蓄電池(バッテリー)にもなるそうで、「プラスチックは電極としても電解質としても利用されており、プラスチックだけからなる電池を作ることも可能です。」なのだとか!
 さすがはプラスチック、万能素材なんだなーと感心させられました。
 最近は、海洋に漂うたくさんのプラスチックごみが問題になっていますが、「第6章 プラスチックの課題と私たちの生活」には、そのことも書いてあります。便利なプラスチックが、今後も私たちの生活を快適にしていけるよう、「分別」など自分の出来る努力をしていこうと思わされました。
 プラスチックについて総合的に知ることが出来る本です。プラモデル作りなどの工作に参考になったというわけではありませんでしたが、教養として、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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