『家をセルフでビルドしたい 大工経験ゼロの俺が3LDK夢のマイホームを6年かけて建てた話』2018/11/30
阪口 克 (著)
家を自分で建てる☆ そんな工作好きの夢を実現しちゃった人の奮闘記です☆
家をセルフでビルド……そんなことが出来たらいいな、なんてふと思っても、実際にやれるものとは、まったく想像もしませんでした。しかもこの本の副題は「大工経験ゼロの俺が3LDK夢のマイホームを6年かけて建てた話」……大工経験ゼロで建てただと? だったら私にも出来るかも……わくわくどきどきしながら読み始めて……あまりの面白さに一気に読み終えてしまいました。
これは面白い☆ 面白すぎる☆
でも……セルフで家を建てるのは……あまりにも無謀だから、やめようっと(汗)
いや、著者の阪口さんは、きちんと「ちゃんと住める素敵な家」を建てています。それも、なんと、よくあるログハウスではなく、ちゃんとした木造の和風建築を!
でも、プロの力やセミプロの方の援助があってこそ、大工経験ゼロでも建てられたのだと痛感させられました。さらに……足場もないまま屋根を作ろうとか……高所恐怖症の私には絶対無理。
それでもこの本は、読む価値が十分ありました。家を建てる気はないのに、工作好きの好奇心から一般向けの建築関係の本もけっこう読んできたのですが、図面や指示がいっぱいありすぎて、正直、頭の中もいっぱいいっぱいになり、わけわかんない決め事がいっぱいあるのだなーと感じてきた多くのことを「現実事」として理解できるようになったからです!
この本では、おそらく初心者が躓くであろう、たくさんの場面が、阪口さんの苦労とともに率直に描いてあります。
例えば「土台の据え付け工事」では、アンカーボルトの穴あけについて。
「アンカーボルトというのは、コンクリート製の基礎に田植えに苗のように植えられた径12ミリのボルトのことで、こいつで基礎と土台を緊結するというわけだ。それに合わせて土台の材木にボルトが通る穴を開ける場所合わせが結構めんどうくさい。」だそうで、素人にとっては、真っ直ぐ穴あけするのも大変なのだとか。……確かに。
また、屋内へ水道の管を導くために、なんと自分で溝を掘った時の話。ショベルカーを貸してくれた方がいたので、それで掘ったそうですが……単純に、溝を掘ればいいのではないのです! 水道管のためには「正しい勾配」で掘る必要があったのです! 水勾配は、「直径10㎝の管で1/100勾配」すなわち100㎝で1㎝下がるようにしなければならないそうで、急にしすぎると液体だけが流れて固形物が途中で取り残されることになるのだとか……。
その他にも、材木の接合のための「仕口」を自分で作る話、自分でクレーンを作った話などなど、実践的に参考になる話がとにかく満載。アラフォーの大工素人カメラマンの阪口さんが、6年の歳月をかけて試行錯誤悪戦苦闘の末、ついにマイホームを自力で完成させるという、汗と笑いと涙の建築ドキュメンタリーでしたが、家はどうやって作られるのかについても、詳しく知ることができました。
それでも……現実に「素人がセルフで家を建てる」のは、すっごく厳しいと痛感させられました。阪口さんは大工経験ゼロとは言うものの、材木接合のための「腰掛け鎌継ぎ」、や「腰掛け蟻継ぎ」なんかは割に簡単に作ってしまうのに、これだけの苦労をしていて、赤ちゃんだったお子さんも完成時には小学校入学……6年間もかけて作っているのです。
阪口さんや奥さん、お子さんの頑張りにも感動しました。とてもいいご家族ですね!
それにしても……住宅の新築って、当たり前だけど、何もかも一から作るから(なんと電柱すらMY電柱!)、本当に大変なんだなー……セルフでビルドはしてみたいけど、中古住宅の改造ぐらいでいいや、と思ってしまいました(笑)。ちなみに阪口さんも、この住宅を建てる前に、友人の買った古民家のリフォームを手伝っています。
とても勉強になる上に、すごく面白い建築の本でした。家を建てるのがどんなに大変なことかがよく分かるので、これから家を建てようと考えている方は、たとえすべて住宅メーカーにお願いするつもりでも、読んでみてください。きっと何か参考になることがあると思います。また、工作好きの方にも、もちろんお勧めします☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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