『地形・地質・地層で読み解くビジュアル地球史 世界自然遺産でたどる 美しい地球』2018/12/8
高木秀雄 (監修)

 美しい自然遺産の絶景写真とともに、この風景がどのように作られたのかについて、地球科学的に解説してくれる本です。
 オーストラリアのウルル(エアーズ・ロック)などの絶景写真を見た時に、うわー美しいなー……と思うと同時に、これって、いったいどうしてこんな形をしているの? と疑問に思ってしまう人は多いのではないでしょうか。
 この本は、そんな人に最適です(笑)。世界各地の美しい絶景写真とともに、その風景の地学的な解説をしてくれるのです。
 ウルルの場合は、「ウルルとカタ・ジュタができるまで」というイラストとともに、こんな解説がありました(一部の抜粋です)。
「ウルル周辺は、数億年前に古代山脈がつくられていたと考えられている。その山脈は長い年月が経過する間に、地殻変動と風雨による浸食で、砂漠へと姿を変えていった。その過程で、内部にあった硬い砂岩の部分だけが、浸食に耐えたことで、平らな砂漠の中に巨大な岩として姿を残したのだ。(中略)現在、私たちが目にしているウルルやカタ・ジュタは、形成された岩石のほんの一部分だ。地下には、さらに巨大な砂岩の層が眠る。周囲の浸食は現在も続いているので、数万年後のウルルやカタ・ジュタは、より大きな姿となっているかもしれない。」
 そして次のページをめくると、世界一古い世界最古の湖・バイカル湖の写真が。なんとバイカル湖は、今も裂け続ける地溝湖なのだとか!
「(前略)バイカル湖は、ユーラシアプレートから区分されているアムールプレートの境界部分に位置している。今から約2500年前に、インドプレートがユーラシアプレートに衝突した。衝突現場の付近は、大きく隆起してヒマラヤ山脈が形成された。その影響は、ユーラシアプレートとアムールプレートの境界付近にも現れた。この付近では、いくつもの断層ができ、大地を東西に引き裂いて地溝を形成した。そこに水が溜まっていき、湖となった。」
 ドラマチックですね☆ バイカル湖の湖底は今も裂け続けていて、毎年、幅約2㎝、深さ約6㎜ずつ増えているそうです。
 こんな感じで、素晴らしい絶景写真と、その成り立ちを一緒に教えてくれるのです。知っていたものもありましたが、知らなかったものもいっぱいあって、有名な絶景の自然遺産がいっそう魅力的になりました。

 例えば、超有名なグランド・キャニオンでは、18億年分のしま模様を見ることが出来るのだとか!
「最深部は約18~17億年前に地下深くにあった岩石が高温によって編成した片麻岩だ。」
 で、その片麻岩が地表に露出した上に、砂、泥、海中生物の骨などが堆積していったそうです。あのダイナミックな縞模様(地層)は、まさに地球の記憶なんですね!
『地形・地質・地層で読み解くビジュアル地球史』の本です。42の世界自然遺産が収録されていて、日本からは、知床、小笠原諸島、屋久島、白神山地の四か所が選ばれています。巻末には、所在地の記入された世界地図と、「この本に出てくる地球のできごと年代表」と索引もあります。
 絶景写真が美しくて解説も分かりやすく、眺めているだけで癒されます。写真があまりにも素晴らしいので、できれば、もう少し大きいムックサイズで見たかったような気がしてしまうほどです(汗)。とても素敵な本なので、ぜひ手にとって眺めてみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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