『悶絶スパイラル』2012/8/27
三浦 しをん (著)

作家の三浦さんが、多忙な(?)日常の中で出会う面白ネタが満載の爆笑エッセイ集です☆
ユーモア本が大好きなので、『悶絶スパイラル』というタイトルが気になって、なんとなく中身をパラパラ。たままた目に入った「ききみみ頭巾」という短いエッセイを軽く眺めたら……もう、くすくす笑いが止まらなくなりました。
ファミレスで校正作業中をしていた三浦さんが、隣のテーブルにやってきたスーツ姿の若い男性三人の会話に、思わず聞き耳を立ててしまう……という話だったのですが、優柔不断な男性Cを、安いファミレスご飯で自分の会社に就職させようと説得している先輩A、Bとの会話もリアルで、一緒に聞き耳を立てている気分にさせられてしまうだけでなく、その間に挿入される三浦さんの「心のツッコミ」や妄想も面白くて……何これ! 面白過ぎるだろ! ということで当然、本を手に入れて、すべてを読むことに。
脳内政界ラブロマンスに思いを馳せたり、ジョジョTを着て打ち合わせに向かったり、タクシー運転手さんには虚栄心からモテ女を演じたり、ちょっと変わった本音丸出しの友人たちと夜の町を彷徨ったりと……三浦さんの日常って、本当にこうなんだろうなーと想像させられるほどのリアルさで、笑える日常がどんどん綴られていきます。いやー、でも、この話、「盛って」るんですよね?
まあ、面白ければいい私にとっては、こんな与太話が嘘か真かはどうでもよく、ひたすら楽しく笑わせていただきました。なかでも家族との話がすごく面白くて、「いい家族でいいなー」と思っていたら、最後の方で「そうか、このメンツ(注:自分の家族のこと)のあいだに、未だかつて一度も理解が芽生えたことがないのは、いつもてんでんばらばらに自分の怒りに夢中だからか。と、悟りが開けたのであった。」と書いてあったので、びっくりしました(笑)。うむ。ただの自虐ネタだとは思うけど、一応言っておく。君たちんトコぐらい、みんなが自分の好き勝手をやって本音をまっすぐ言い合いながら、楽しくわいわいやっている家族なんて、そーはいないよ! すごく羨ましい家族だよ!
ふー……えーと、その他にも、三浦さんの溺愛する漫画の話とか、参考になる(?)話が満載☆ ベストテンに私の好きな漫画も入っていて満足☆ キャラの濃い友達と、漫画の名台詞をうまく使った会話をし合うのも面白くて、うーん私も学生時代にやったなーとしみじみ……。いい友達を持ってますね! てか、さすがに友達多いな! しかも本当に良い友達ばかりのようで、新婚さんのマンションでの宴で、終電を逃した三浦さんたちが夜通しバカ話をする「新作落語「カツラ山」」とか……本当に凄い才能だよ、と大笑いしながら感心させられました。
とにかく爆笑もののユーモア・エッセイ集です☆
でも最後に一言いわせてください。「シャツがイン」って、そんなにも、オダ○ョーぐらいのイケメンでないと許されないんですか? 寒い場所や季節には、どうしたって「シャツがイン」したくなるものだと思うのですが……どうなんでしょう? 札幌のみなさんでも「シャツがイン」はダメなんでしょうか。……くそう、「シャツがイン」がダサイ着こなし決定版なんて、誰が決めやがったんだ……みんな、もっと「シャツがイン」に寛容になろうよ……(なんとなく、しょんぼり)。
ふう……それはともかく、笑えるエッセイ集でした。ユーモアが好きな方、漫画好きの方は、ぜひ読んでみてください。仕事で疲れた時でも、元気がもらえるかもしれません。
(なお、このエッセイ集は、『夢のような幸福』、『乙女なげやり』、『桃色トワイライト』、『悶絶スパイラル』の四冊がシリーズになっていて、文庫本の表紙の絵の人数で何冊目かが分かるという粋な仕掛けになっています。四冊目で、このシリーズはいったん完結なのだとか。残念ですが、この後も面白いエッセイ集を出してくれているようなので、一安心。)
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