『この問題、解けますか?2』2018/1/12
吉田敬一 (著)

発想力、論理力、数字のセンスなど、「知識」ではなく「知恵」が試されるパズル集で、ベストセラーとなった『この問題、解けますか?』の第2弾です。
今回の問題もとても楽しめました。今回は、かなり数学的な問題が多かったような気がします。
悔しいことに、ひっかけられてしまったのが、「Q18 消えた千円」。問題の概要は、「3人が1人1泊1万円の部屋に泊まり、3人で3万円払ったのですが、帳場では「あの部屋はエアコンの調子が悪かったから」と、5千円をお客に返すよう女中にもたせました。ところが女中は2千円をネコババして、お客に3千円を返しました。お客は一人あたり9千円で泊まったことになります。すると宿泊費は9千円×3で2万7千円。女中がネコババした2千円を加えても、2万9千円にしかなりません。千円はどこに消えたのでしょう?」というものなのですが、どう考えても千円がどこに消えたのかまったく分からず、解答を読んで、ようやく「ああ!」と腑に落ちました。……この問題、古典的なパズルなようなので、前にも見たことがあったのかもしれませんが……きっと、その時は、答えの理由が腑に落ちなかったのでしょう。そして、もしかしたら次に同じ問題に出会っても、また、ひっかかるかもなー、と嫌な予感を抱いてしまうほどの良作でした(涙)。(参考までに、答えをこの記事の末尾に書いておきます。問題を自力で解きたい方は、その部分を見ないようにしてください。)
さて、本の終盤になると、「難問に挑戦」として、かなり難しい問題が出されてきます。もちろん難問ばかりなのですが、途中経過がイラストで詳しく表示してあるものもあり、正しい解答にたどりつきやすいように工夫されています。この中で「Q74 進むべきか止まるべきか」という問題は、正解はともかく、私としては、最後まで「止まらない」を選択するだろうなーと思ってしまいました。なぜなら賞金をめぐって「進むべきか止まるべきか」を選んで勝負するAとBの二人は、最後まで到達(最後まで「止まらない」を選択)すれば二人とも5千円もらえることが分かっているのだし、途中で止めたところで、5千円以上がもらえるのは、たった1回だけ、それもBだけが7千円もらえる(この時 Aは7百円)という条件なのですから。この条件でゲームを行うなら、二人の人間関係を良好に保つためにも、「ずっと止まらない」以外にないと思うのですが……? (ちなみに、残念ながら、この答えは「正解」ではありません。勝負師は冷徹でなければならないようです)。
それから「Q38 少数第百位の数は?」の問題は、問題の数字が間違っているようで、「いったい、どうやって解くの?」と無駄に悩まされてしまいました(2018年1月15日第一刷のもの)。今後は、改訂版が出ることを期待したいと思います。
ということで、ちょっとした問題はありましたが、全体としては、前作同様、とても楽しませてもらえるパズル集でした。「知識」ではなく、「知恵」を使うパズルが好きな方にお勧めです☆
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(ネタバレ:「Q18 消えた千円」の答え。帳場から5千円返された段階で、宿泊費は3万円ではなく「2万5千円」になっています。でも実際にお客に返されたのは3千円だから、9千円×3で2万7千円支払ったことになっていて、そこから女中は2千円をネコババしたのです(返されたお金2万7千円-ネコババ2千円=2万5千円)。この問題は、ちょっと面倒くさい計算の中で、「返されたお金2万7千円+ネコババ2千円=2万9千円?」という勘違いを誘導するというパターンのクイズなのでした。)