『電子工作パーフェクトガイド: 工作テクニックと電子部品・回路・マイコンボードの知識が身につく』2018/1/5
伊藤 尚未 (著)

初めて電子工作をする人向けのパーフェクトガイドです。
著者の伊藤さんは『子供の科学』で電子工作連載をしている方なので、電子工作の仕方が写真やイラストを駆使して、とても分かりやすく解説されていて、小学生(高学年)でも学べると思います。もちろん「電子工作はあまりしたことがなかったけど、これからやってみたい」とか「物理は苦手だったけど、IoT時代についていくためにも電気について学んでおきたい」とか思っている大人の方にも最適です。
最初の回路は、なんと「豆電球を光らせる」という基礎の基礎から始まります(笑)。同じ記事内には、「オームの法則」の説明もあって、必要な場所に必要な解説があるという印象でした。こういう解説が、最初にまとめてドンと書いてあると……どうしても学生時代の「物理」を思い出して、先を読み進むモチベーションが薄れがちですが(汗)、この本は装置の写真や基盤の写真、回路図がメインなので、「工作」や「技術」の楽しさに惹かれて、どんどん読み進められます(笑)。
ただし全体に書き方が「お子さん向け」だし、「豆電球を光らせる」回路から始まるので、すでに電子工作がある程度出来る方にとっては、あまりにもレベルが低すぎるかもしれません。それでも、「豆電球を光らせる」回路から始まって、センサーライトなど各種の装置を電子工作し(ここで、どんどんレベルがあがっていきます)、最後にはArduinoなどのマイコンボードを使った工作まで、総合的に分かりやすく解説してくれるので、自分の知識の総復習に役に立つと思います。ちなみに私は、最近は電子工作をほとんどやっていなかったので、電子部品図記号が変わっていることに驚かされました。ギザギザ波模様だった「抵抗器」は、いつの間にか箱型の記号に変わっていたんですね……(汗)。(巻末に、「電子部品図記号」があり、主な部品について、旧JIS、新JISの記号一覧があります。)
その他にも「必要な道具」、「さまざまな電気のつなげ方」、「ハンダづけの基本」など、初心者が知っておくべき基本中の基本の知識が網羅されていて、お子さんに教えるのにも本当に役に立ちそうです。
もちろん、キラキライルミネーション、自動運転カーなど、いろんな装置の作り方も掲載されている上に、その基盤配線図がすべて実寸で掲載されているので、それをコピーして部品面に貼りつけて、図の通りに部品を差し込めば、間違えずに電子工作が出来るようになっています……親切ですね☆ まずはこの本の設計図通りに装置を作って電子工作の訓練をして、その一部分を改造していくことで、しだいに自分の作りたいものを自分で設計することが出来るようになっていくのではないでしょうか。
ただし、「Arduino」や「Raspberry Pi」などについては、かなり簡単な紹介しかないので、この本で興味を抱いた方は、もう少し専門的な内容の本を読んでから始めた方がいいと思います。
電子工作関連の本は、すでにある程度の知識がある人向けの本が多いので、「専門的な内容まで書いてある本」には、この本に書いてある「基本中の基本」が書いてないことが多いのです。もしも「専門的な本」を読んだ時に、これはどういう意味? 実際にはどうやればいいの? と感じることがある人は、この本を読むと、理解が進むかもしれません。
初心者に優しい『電子工作パーフェクトガイド: 工作テクニックと電子部品・回路・マイコンボードの知識が身につく』本でした。ぜひ読んでみてください。