『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』2018/1/26
俣野 成敏 (著), 坪井 健 (著)

手を出す前にしっかり知っておきたい、仮想通貨との「賢いつきあい方」を教えてくれる本です。
マニアから一般へ、投資、決済、送金の手段として急速に利用が拡大するしつつある仮想通貨。その利便性から、近い将来、誰にとっても身近なものになっていくと思われます。
「暗号化技術によって匿名性を保ちつつも、プルーフ・オブ・ワークのしくみによって透明性を保つ。」これが仮想通貨の根底にある技術で、「未来の通貨」として、しだいに社会に浸透するようになってきました。
ビットコインなどの仮想通貨で大儲けした「億り人」が話題になり、仮想通貨人気が沸騰して価格が暴騰していったかと思うと、多額の仮想通貨を流出させてしまったコインチェックなどの取引所の問題が発生したとたん、どんどん暴落してしまうなど、価格の大幅な変動っぷりにも驚かされます。
仮想通貨関連の法整備は進められつつはありますが、まだまだ不安定な取引所や詐欺が横行してもいるようで、「手を出す前に知っておくべき」リスクや不安が存在しています。
この本は、仮想通貨の概要や可能性の紹介とともに、どんなリスクがあるかを示し、投資に対する心構えまでを踏まえた上で、「仮想通貨を味方にする方法」をやさしく教えてくれます。
主要な仮想通貨には、「ビットコイン」「イーサリアム」「リップル」があり、このうち「リップル」が他の仮想通貨と決定的に違うのは、「ビットコイン」をはじめ、ほとんどの通貨が資産(仮想通貨)を直接やり取りするのに対して、リップルは債務(IOU:借用書)に相当するモノをやり取りするしくみになっていることだそうです(リップルのしくみ自体が、銀行間で行われている送金のしくみ(為替取引)をモデルにつくられていると考えられています)。
「P2Pを介して、基本は平等な立場でコンピューターがつながっているビットコインに対して、リップルは「バリデータ」という評価者としての上位サーバーが世界に30台ほど存在します。このバリデータの7割が承認すれば、取引はOKということで、そのスピードがまさに瞬時、なのです。先にもお話した通り、リップルはIOUと呼ばれる債務の付け替え作業を行っているために、資産を動かすビットコインのような複雑なプルーフ・オブ・ワークを必要としません。代わりにバリデータによる承認がその役割を担っています。」という記述から、「仮想通貨」には、システム的・技術的な面で大きな違いがあるものが存在していることが分かりました。
さて仮想通貨というと、一般的には、「1)送金が速い、2)手数料が安い、3)国の情勢に左右されない」ものだと思われていますが、実は「現実には真逆の状態」なのだそうです(!)
1)送金に24時間以上かかることも珍しくない(銀行よりも遅い)
2)コインの価格上昇もあって、必ずしも「手数料が安い」とも言えない
3)政治的動向で関連の法律が変化し、社会情勢での価格変動も激しい
……仮想通貨については、「本による知識」を知っていましたが、現実に利用したことはなかったので、現状は「本に書かれていること」とは違っていることを知って少し驚きました。
「第3章 仮想通貨を味方にする方法―正しい投資マインドを知る」によると、仮想通貨を投資に利用する場合には、「仮想通貨を「唯一の投資先」とせず、あくまでもポートフォリオ(分散した投資対象)の一部と考える。」「本業でお金を稼ぎ、貯めた後の「余剰資金」で投資する。」「難しいと思いつつも情報を収集し、分析し、真偽を見極める……こういった「めんどくさい」作業があってこそ、投資で成功する確率が上がります。」などに留意するといいようです。
その他、仮想通貨の管理方法(基本的に「自己責任」)とか、税金の確定申告(2017年9月 ビットコインで得られた利益に「雑所得」がかけられるようになった)とか、「現実に仮想通貨を利用する」時に、知っておくべき情報もいろいろ書いてあって参考になりました。
現在のところ、まだまだ問題も多いようで、当面は積極的に利用するつもりはありませんが、「仮想通貨」は、将来的には、どんどん身近な存在になっていくようなので、これからも注目していきたいと思います。