『RPAの威力 ~ロボットと共に生きる働き方改革~』2017/11/16
安部 慶喜(アビームコンサルティング株式会社) (著), 金弘 潤一郎(アビームコンサルティング株式会社) (著)

RPAのソフトウエアロボットによる業務の自動化の威力を教えてくれる本です。
RPAは、「Robotic Process Automation」のことで、「従来は人間のみが行うことができると考えられていた作業を代行するもので、高度化するソフトウェア、およびそれらを利用した業務改革手法」で、パソコン上で人間が行っているような様々な操作をロボットが記憶し、人間に代わって自動で実行することを言います。「ロボット」というと、金属のメカニズムで手足が動くようなものをイメージしてしまいましたが(汗)、ここで言うロボットは、「ボット」のような「自動で動くプログラム」を意味しているようで、「メカな手足」は必要ないようです。
この本では、RPAの解説(効果や導入方法など)に続いて、それを導入した先進8社の取り組みが紹介されます。「大和ハウス工業」、「農林中央金庫」、「ブリヂストン中国」、「帝人フロンティア」、「アサツー ディ・ケイ」、「テレビ朝日」、「NECマネジメントパートナー」、「インテージホールディングス」の8社で、革新的なシステムというよりは、むしろ「定型的で退屈な仕事」をRPA化している事例が多いようです。
驚かされたのは、「導入企業の約半数が4週間以内でRPAロボットを導入」したという導入期間の短さ! それなのに「97%が5割以上業務削減」できたそうです。その導入の目的や効果としては、「業務正確性担保(間違い防止)」、「競争力強化」、「業務の見える化」、「業務負荷の削減」、「作業平準化」、「コンプライアンス(不正防止)」、「余力創出(高付加価値業務へのシフト)」などがあげられていました。
ところで「ロボットによる業務の自動化」というと、やっぱりAI(人工知能)による自動化を連想しがちですが、RPAロボットはAIとは違って、「自己学習はしない」プログラムなので、教えたこと以上の働きはしません。「教えられたことを、愚直に自動的にやってくれる」ロボットなのだそうです。……これなら、むしろ安心して仕事を任せられそうな気がします(笑)。
参考までに、AIとRPAの特性比較を以下に紹介させていただきます。
・AI:ルールを自ら発見・定義して自動化(大量のデータを学習・解析し、推論により自らルールを発見・定義。適用範囲は広いものの、100%の精度で処理ができるまでには時間と費用がかかる)
・RPA:人間が決めたルールの範囲内で自動化(人間が判断ルールや各判断結果における処理をすべて指示。ルール内の処理はすぐに100%こなせるが、ルール外の処理は全くできない)

さて、最近は各業界で人手不足が深刻化していますが、このRPAは、人手不足への特効薬として使えそうな気がします。しかもRPAを行うことで、今後、進展していくIoTへの対応準備も行えそう……そういう意味でも、RPAを積極的に活用すべきではないかと思わされました。
その「導入のコツと成功のポイント」は、「1 考えるより触れ」、「2 業務部門とIT部門がタッグを組め」、「3 運用ルール・体制を考え抜け」、「4 現場を巻き込め」、「5 最適なツールを選べ」だそうです。
短い導入期間で業務の大幅な効率化が期待できるRPAの概要や導入方法を教えてくれるだけでなく、いろいろな業界での事例も紹介されているので、自分の会社なら、どう使えるかを考えるためにすごく参考になると思います。読んでみてください。