『脳がどんどん強くなる!すごい地球の歩き方』2022/11/25
高島明彦 (著)
「旅をすることが、なぜ脳にいいのか」の解説と、脳を活性化させる50のトレーニングを紹介してくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 旅して脳を活性化! 空間ナビ脳トレとは
第2章 脳を強くする50のトレーニング
第3章 空間ナビ機能を鍛える! 脳トレ地図なぞり
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「はじめに」には次のように書いてありました。
「「なぜ旅行が、アルツハイマー型認知症発症の予防になるのか?」と疑問に思いますよね。(中略)アルツハイマー型認知症を発症する20~30年前に、いちばん初めに神経細胞の破壊・萎縮が始まる場所は、脳の「嗅内野(きゅうないや)」と呼ばれる部位です。嗅内野は空間や場所を把握する「空間ナビゲーション機能」を司る部位のひとつで、その機能をフル活用する「旅」という行動をすることで、嗅内野を活性化させ、アルツハイマー型認知症を予防していこう、ということなのです。」
そして「第1章 旅して脳を活性化!」では、脳の解説、とくに嗅内野についての詳しい説明がありました。そのごく一部を紹介すると、次のような感じ。
「嗅内野は一次感覚情報の中継所としての働きがあります。体の外から入ってきた感覚の情報は脳の一次感覚野という場所に届きます。嗅内野はその情報を全部受け取って、海馬に伝える機能を担っています。そして、海馬は受け取った情報を処理してまた嗅内野に返し、嗅内野はその情報を大脳皮質に渡します。大脳皮質と海馬の間に入って情報の入出力をするとても忙しい場所が、嗅内野なのです。」
「(前略)嗅内野と海馬のシナプスは、刺激することで増加が期待できる部位なのです。」
……へえー! そうなんだ。
そして怖い「認知症」についても、次のように書いてありました。
「認知症は病名ではなく、「状態」のことです。(中略)日常生活を送ることが困難になっている状態を認知症というのです。
認知症はいわゆる高次脳機能障害の状態です。」
「脳の中で最初にタウタンパクがたまって神経原線維変化が起こるのは嗅内野で、この変化が始まるのはなんとアルツハイマー型認知症になる20~30年前。」
……そうか……正直に言って、昔からちょっと方向音痴なところがありますが……「空間ナビゲーション機能」が弱いのかも……これはヤバいのかもしれない……。
でも「旅行」には、次のような効果があるそうです!
「(前略)常に嗅内野と海馬をフル稼働させて、空間ナビ機能を働かせるのが旅なのです。(中略)また、旅は前頭葉や側頭葉など脳のあらゆる部分を刺激し続けます。」
……そうか……やっぱり、たまには旅に出ないといけませんね!
そして「第2章 脳を強くする50のトレーニング」では、次のようなトレーニングが紹介されています。
・昼と夜、同じ場所を二度歩いてみる
・高い建物に登って町の全体像を把握する
・現地の挨拶を覚えて使ってみる
・映画やドラマに出てきた場所をめぐってみる
・旅から帰ったら旅の思い出ノートを作る
・古地図を見ながら散歩してみる など。
……「海外旅行」に関するものが多かったのですが、もちろん国内旅行でも効果があると思います。そして「旅行」というほどではなく、ショッピングモールを歩くものも紹介されていました。
・ショッピングモールではフロアマップを頭に入れておく
ここには「複数人で行く場合は別行動をして、それぞれの中間地点で待ち合わせしてみましょう。」と書いてあって、これは旅行の最初のトレーニングに最適だ!と思いました。また「一人旅」も推奨されています。これも「日帰りの旅」から始めると、楽しくトレーニングできそうですね!
「海外旅行」については、かなりハードそうなものもありましたが……海外でとても気になるのが「治安」。楽しいはずの一人旅で、危険な目に遭うのはイヤだな……と思っていたら、なんと「敷地が広いホテル、散策できる道がたくさんあるホテル」も紹介されていました。これなら一人でぶらぶら歩いていても、安心かもしれませんね☆
・インドネシア:アヤナ・リゾート&スパ バリ
・ハワイ:ヒルトン・ワイコロア・ビレッジ
・アメリカ:ザ・ベネチアン・リゾート・ラスベガス
この他にも、その中で安全に歩ける広い「世界の有名美術館・博物館」、「世界の巨大ショッピングモール」、「世界のスーパーマーケット」が紹介されていたので、ここをメインの目的地にしておくと、老人になっても、安全に海外旅行を楽しめるような気がします。
そして面白かったのが、「第3章 空間ナビ機能を鍛える! 脳トレ地図なぞり」。
見開きページでガイドブックの地図と、地図(ルート)の紹介文、ルートの立ちよりスポットの写真があり、「文章で書かれた世界各都市のお散歩ルートを読み解きながら、地図上に答えを書き込む」という楽しいトレーニングなのです。パリ、バルセロナ、ニューヨーク、シンガポール、東京など、全部で10ヵ所の「地図歩き」を楽しめました。
地図の旅ではありますが、スタート地点あたりの写真を見て、次に行くべき場所を確かめてその道を指でなぞり、次の目的地の写真を見て、また次の目的地へ……という感じで進んでいくと、だんだんわくわくしてきて、地図だけなのに、ちょっぴり旅行気分が楽しめます。
さらに「第2章 脳を強くする50のトレーニング」で紹介されていた「Googleストリートビュー」でバーチャルな散歩を楽しむ方法を、この地図を使ってやると、もっと楽しくトレーニングできるかも(笑)。
「楽しいだけじゃなく旅は脳にもいい!」……考えてみれば、実際に旅行をすることや旅行の計画をするだけじゃなく、旅行のために必要な荷物を選ぶとか、カバンにうまく詰め込むとか……旅行は本当に「脳と身体をフル活用」するものですよね!
楽しく旅をしながら脳を活性化し、認知症の発症を予防する方法を教えてくれる『脳がどんどん強くなる!すごい地球の歩き方』でした。脳を楽しく鍛えたいと思っている方は、ぜひ読んで、試してみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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