『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』2021/9/29
森 勇磨 (著)
「科学的に正しい」予防医学を教えてくれる一般向けの健康本です。
本書の「はじめに」によると、「2019年の厚生労働省のデータを参照すると、日本人男性の平均寿命が81.41歳なのに対し、健康寿命は72.68歳。女性の平均寿命が87.45歳なのに対し、健康寿命は75.38歳という結果がでています。」なのだとか! 私たちはだんだん長寿命化してはいますが、10年ぐらいは介護や医療を必要としているんですね。
そして「PROLOGUE」には、「がんを3つの視点で予防」することが書いてありました。
1)一次予防(病気にならない行動管理:食事、運動、禁煙、ストレス解消)
2)二次予防(病気の早期発見・治療)
3)三次予防(リハビリ・再発予防)
……なるほど。これらの予防に心掛けて、健康長生きを目指したいと思います。
そして「第3章 がんの予防・早期発見に効く新常識」では、各がんの予兆となる症状を具体的に知ることができます。例えば、胃がん場合は、黒い便、みぞおちの痛み、早めの満腹感などで、大腸がんの場合は、深刻な便秘、赤い便、めまい・ふらつきなど……。
また、がん共通の「3つの初期症状」は次の通りだそうです。
1)心当たりのない体重減少
2)熱が出たり下がったり
3)体から血が出る
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個人的に一番真剣に読んだのが、「第4章 健康寿命を延ばす最強の食事術」と、「第5章 病気を遠ざける科学的な生活習慣」。
「第4章 健康寿命を延ばす最強の食事術」では、「地中海食は最強の食事」とか、「コーヒー、紅茶は健康に良い」と書いてありました。コーヒー、紅茶は好きなので、嬉しかったです。ただし、65度以上の熱い飲み物は食道がんリスクを上げるようなので、少しぬるめのものを飲むべきだそうですが(……その点は残念でした……)。
ちなみに「地中海食」の特徴とは、次のようなもの。
1)全粒穀物、新鮮な果物、野菜中心の食生活
2)料理にナッツ、オリーブオイルを多用
3)赤身肉摂取量少なく、魚を多く摂取
4)卵の摂取量は週4個未満
5)食事時にワインを少量摂取
6)加工食品はできるだけ摂取しない
……これに、納豆など和食でよく使う発酵食品もプラスすると、さらに良いようです。一般的には和食も健康に良いものが多いのですが、塩分が多めになり過ぎな点に注意が必要だそうです。
そして「第5章 病気を遠ざける科学的な生活習慣」には、次のようなことが書いてありました(ここではそのごく一部のみを紹介しています)。
・歯周病防止のため、フロスや歯間ブラシも使って歯磨きする
・運動は心臓の劣化を防ぐ意味でも重要
・中程度の運動を20分以上行うと生活習慣病予防に効果的
・認知症の12の予防方法(教育、難聴、高血圧、肥満、喫煙、うつ病、社会的孤立、運動不足、糖尿病、過度の飲酒、頭部外傷、大気汚染)
・水分補給なしに長時間サウナに入ると、腎臓に大きな負担がかかる
・1日15分日光を浴びる
・ビタミンDは魚、キノコ、卵などに含まれている(野菜にはほとんど含まれていない)
などなど……これらの「食事」や「生活習慣」には、ごく一般的に言われてきたものが多かったので、すでに実行中のものがかなりあり、ちょっと安心しました。
個人的に意外だったのが、「第6章 太く長く生きるためのメンタルケア」の「再発率50%の尿管結石を予防する方法」。尿管結石の最大の対策は、「カルシウムの摂取量を増やすことで、カルシウム、クエン酸、水分の摂取が、尿管結石の予防に効果的」だそうです。
……え? でもそもそも結石は、カルシウムで出来るような……と疑問に感じたところ、次のような説明が書いてありました。「尿管結石の90%の原因はカルシウム結石だが、カルシウムが多いせいではなく、むしろ少ないのが問題。カルシウムは腸の中でシュウ酸と結合し結晶をつくって便になって排出される。カルシウム摂取量が少ないと、シュウ酸が尿に流れて結石ができやすくなってしまう」ようです。……へえー、そうだったんだ。
この他、「巻末資料1:年齢別やることリスト」、「巻末資料2:40歳以上ならすぐ病院に行くべき「15の症状」」、「巻末資料3:正しい医療情報を見抜く「3つのコツ」」も、とても参考になりました。
「病気にならない知識と習慣74」を教えてくれる『40歳からの予防医学』でした。とても参考になるので、健康を保つために、40歳以上の方はもちろん、若い方も、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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