『絶対後悔しない! 豪雨・地震に強い住まい選び』2021/10/21
小口悦央 (監修)

 豪雨被害や地震などの災害を見据えた住宅選びが、一層重要になっています。立地や構造での危険物件の見分け方から、今の住まいを安心して一生暮らせる家に変えるリフォーム方法、保険選びまでを総合的に教えてくれる本です。
 建築基準法の耐震性は、「震度5程度の地震であっても建物が損傷せず、震度6強から7程度の地震で建物が倒壊しない」ように決められているそうです(ただし、この基準は1981年6月1日以降に建物確認を受けた建物から)。また木造住宅の場合は2000年に建築基準法が改正され、より高い耐震性が求められるようになったそうで、実際に、2016年熊本地震では、新しい基準で建てられた建物の被害は少なかったとか。建築基準法……大事な法律ですね!
 なおマンションは想像以上にきちんと建てられているようで、「マンションについては、2011年の東日本大震災でも、大破は0%、ほとんど損傷のない「軽微」と「被害なし」が97%超でした。」だったそうです! 素晴らしいですね!
 でも「マンションでは、地震よりも水害に注意を払う必要があります。」ともありました。
「マンションの上層階でも、電気設備が浸水して故障すると、ポンプで水を汲み上げられず、トイレも使えません。停電によりエレベーターも使えないどころか、タイミングが悪ければ、長時間、エレベーター内に閉じ込められるようなこともあり得るでしょう。」
 ……確かに、そうですね。
 そして災害に強い住まいを見分ける主要なポイントは、次の3つだそうです。
1)土地・地盤
2)建物の構造・設備
3)災害対策(住民同士の助け合いシステムやマニュアル、避難所など)
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 災害に対応するためには、まず自分の住宅周辺にどんな災害リスクがあるのか知っておく必要があると思いますが、そのためにはハザードマップを見るといいようで、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、各市町村が作成する全国のハザードマップを、次の二つの形でまとめて閲覧可能だそうです。
1)わがまちハザードマップ
2)重ねるハザードマップ(見たい住所を指定して表示した後、洪水、土砂災害、高潮、津波、道路防災情報、地形分類を選ぶと、周辺地図に危険性のある場所が色付けされる)
 ……なお、この他にも、各自治体が発行している「防災マップ」で避難経路等を確認することも出来るとか。
 また「第3章 地震に弱い建物の見抜き方」では、さきほどの建築基準法の基準に合致しているかどうかの他、シロアリなどの情報も書いてありました。シロアリ被害を放置しておくと、大地震で倒壊する恐れがあるそうです。シロアリは1階の柱と床下の土台部分の継ぎ目を集中的に侵食するので、建物の土台が崩れる危険あるのだとか! なんとシロアリは木材だけでなく、畳や発泡スチロールの断熱材、プラスチックなども食べるそうです。なおシロアリの防蟻処理の効果は約5年なので、5年ごとのメンテナンスの必要性があるのだとか。
 この他にも、中古住宅の老朽化や手抜き工事の見抜き方など、参考になる情報がいろいろありました。中古住宅の購入で不安を感じたら、プロに診断してもらう(住宅診断=ホームインスペクション)という方法もあるそうです。
 さらに「Q&A 地震・水害・防災リフォームの素朴な疑問」では、住まいの災害対策の必要性、危険な兆候は建物のどこに出るかなど、みんなが知りたい素朴な疑問について、事例のフルカラー写真付きで教えてくれるので、これらもとても参考になりました。
 また「防災リフォーム」について、「専門家の診断(費用は5~15万円)を受ける前に自己診断してみよう」というリストがあり、地震い弱い家について自己診断できるようになっていました。全部で21項目ありましたが、参考までに、そのうちの最初の10項目のみを以下に紹介します。
1)窓の周りの外壁にヒビがある
2)基礎にひび割れや欠けが出来ている
3)床をパチンコ玉が転がる
4)シロアリの被害を受けたことがある
5)近く(敷地から10m以内)に川がある
6)ドアや襖の開け閉めがしにくい
7)新築後、アンカーボルトを点検したことがない
8)押し入れの中にカビを発見したことがある
9)1階に店舗や車庫がある
10)屋根の瓦が重い ……などなど全部で21項目
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 私たちの地震国・日本では、「どんな災害からも安全で便利な場所」を見つけるのは至難のような気がしますが……住まいは安全な方がだんぜん良いので、新しく住宅を取得しようと考えている方はもちろん、その予定がとくにない方も、本書の情報を知っておいて損はないと思います。ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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