『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編 生命はいかに誕生し、多様化したのか (ブルーバックス)』2022/6/16
土屋 健 (著), 群馬県立自然史博物館 (監修)

 40億年にわたる生命の進化史を綴る全3巻の一冊目・古生代編で、内容は次の通りです。
第1章 はじまりの時代 先カンブリア時代
第2章 爆発的進化の時代 カンブリア紀
第3章 先駆者たちの時代 オルドビス紀・シルル紀
第4章 革命の時代 デボン紀
第5章 終焉の時代 石炭紀・ペルム紀
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 88点の化石写真と美しいカラー復元画とともに、生命誕生から古生代の終りまでの37億年間の生命の進化の流れを、詳しく解説してくれます。
 古生代編では、生命の誕生から哺乳類の祖先に近いグループである単弓類の登場までを、7つの地質時代を通して見ていきます。
 生命の誕生した先カンブリア時代から、多種多様な多細胞生物が登場したカンブリア紀、三葉虫類やウミサソリ類が繁栄したオルドビス紀とシルル紀、魚類が大繁栄し、脊椎動物が四肢をもち陸上への足がかりを築いたデボン紀、植物が大森林をつくり、巨大昆虫が栄え、爬虫類が登場した石炭紀、そして哺乳類の遠い親戚である単弓類が繁栄したペルム紀までの37億5000万年の生命進化の歴史です。
 とても良いなと思ったのが、古生物のイラストだけでなく、各時代の地球の大陸と海洋の地図のイラストも載っていること。例えば「第2章 爆発的進化の時代 カンブリア紀」には、超大陸があったそうです。
「カンブリア紀の地球では、南極を中心に「ゴンドワナ」と呼ばれる超大陸が存在した。南極から、北半球の中緯度まで広がる広大な陸地だ。そして、赤道付近には「ローレシア」「シベリア」、シベリアとゴンドワナの間には「バルティカ」と呼ばれる大陸があった。ローレシアは概ね現在の北アメリカ大陸であり、シベリアは文字通りシベリア、バルティカは現在のヨーロッパの一部に相当する。ゴンドワナは、それ以外のすべての大陸が集まっていた。
 草原も森林もない。基本的には、?き出しの荒野だった。
 生命の物語が紡がれる主な舞台は、海だった。」
 ……ゴンドワナの時代には、まだ陸上生物はいなかったんですね。
 それが「第4章 革命の時代 デボン紀」になると、バルティカがローレシア大陸の一部になっているだけでなく、大陸の色が変わっています。大陸はシルル紀までは「荒野色」だったのですが、デボン紀には「緑色」になるのです。というのもデボン紀には、大陸の水域を中心に森林が形成されていくから。
 このような地形の変化と、各時代を生きた古代生物のイラスト(生きているときの想像図)がフルカラーで掲載されているので、その時代には、地球にはこんな生き物が棲んでいたんだなーと、かなりリアルに想像できて、眺めているだけでわくわくしてしまいます。
 またその古代生物イラストの根拠となる化石写真も見ることが出来て大興奮です!
 約5億7500万年前の「エディアカラ生物群」の「ランゲオモルフ」の化石写真(植物の葉のような形をしていますが、植物ではなかったようです)とか、見たこともない貴重な古代生物の化石写真がいっぱい!
 また、「約5億2000万年前の地層から発見されたアラルコメナエウスの化石に、視神経系と脳をはじめとする中枢神経系が確認された。(神経はすでに現生種に近いレベルに達していた)」とか、「カンブリア紀の動物の多くは「眼」を持っていて、この眼が進化を加速させた(喰う・喰われるの生存競争が激化)」とか、興味深い記事をたくさん読むことができました。
 眺めて楽しく、読んで勉強になる、まさに自分だけの自然史博物館☆ 素晴らしい『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編』でした。全3巻で、次の巻は『中生代』、恐竜の時代だそうです。楽しみです。
 みなさんも、ぜひ眺めてみてください。お勧めです☆
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