『高齢者を身近な危険から守る本』2021/8/24
森 透匡 (監修), 平松 類 (監修), 三平 洵 (監修)

 高齢者が被害にあいがちな詐欺や生活上の危険、災害での被害を防ぎ、安全・安心な暮らしのための知恵を教えてくれる『高齢者を身近な危険から守る本』。「詐欺・事件」「暮らしの危険」「災害」という3部構成で、それぞれの専門家が事例をもとに予防や対策について解説してくれます。
「PART1 詐欺・事件から守る」では、ニセ電話詐欺などの手口や対応策が紹介されていました。
 例えば、「すぐに払わないと大変なことになる!」と焦らせてくる「ニセ電話詐欺」の場合は、だまされないために、「常に留守番電話設定にしておいて電話に出ない」、「家族からの電話の合言葉を決めておく」、「お金を渡す前に家族に相談する」などが効果的なのだとか。
 そして、ニセサイトに誘導して個人情報を盗む「フィッシング詐欺」の、よくある手口は次の3つ。
1)銀行をかたり「不正アクセスがあったので口座を確認してください」というメール
2)運送会社をかたり「再配達はこちら」というメール
3)通販サイトをかたり「アカウントを再設定してください」というメール
 ……これ、私もこういうメールを受け取ったことが何回もあります。実在する銀行や会社名をかたっているので、一瞬、これ本物かも? と思ってよく見ると偽物でした……が、この手口、どんどん巧妙さを増しているので、本当に気をつける必要があります。だまされないためには、「安易にリンクをクリックしない」、「「緊急」など焦らせる内容に注意」、「日本語がおかしいものは詐欺の可能性」ということですが、これ本当に大事です。私自身は、どんなメールでも「メール内のリンク」を可能な限りクリックしないことにしています。必要な場合は、対象のサイトに直接ログインするなどして確かめた方が安全です。
 また勝手に商品を送り代金を請求する「送りつけ商法」の場合は、「注文した覚えのない商品は受け取らない」「届いた商品はすぐに処分してよい」「箱を開けても支払う必要はない」とのこと。そして「万が一払ってしまった場合は、消費者ホットライン188(局番なし)に相談しましょう。」と書いてありました。
 とにかく「騙された!」と思ったら、次のことをするといいようです。
1)警察に相談する(被害届を出す)「#9110 警察相談専用電話へ」
2)制度を利用してお金を取り戻す(犯行に使われた口座の凍結、犯人の財産を差し押さえて被害者に分配するなどの方法があるそうです。振込先の銀行名、口座名はメモしておきましょう!)
3)消費者ホットラインに電話する「消費者ホットライン 118」)
 ……ここでは、ごくごく一部を紹介しましたが、本書内にはもっと詳しい説明があります。他の手口もたくさん紹介されています。。

 続いて「PART2 暮らしの危険から守る」では、水回りの危険、暖房器具の危険、熱中症や誤嚥など、生活の中のさまざまな危険から身を守る方法が書いてありました。
 例えば「水回りの危険」の場合は、
・お風呂場(すべりにくい床にする、手すりをつける、浅い浴槽にする、他)
・トイレ(段差をなくす、洋式便器にする、手すりをつける、他)
・洗面所(すべりやすい床材にする、他)
 などなど(もちろん本書内ではもっと詳しく書いてあります)。お風呂場やトイレには「手すりをつける」と転倒の危険を防げるだけでなく、とても便利でなので、お勧めです☆
 また「歩行中事故にあわないために」は、
1)歩道があるところでは、必ず歩道を歩く
2)歩道がないところでは、道路の右側を歩く
3)夜歩くときは、明るい色の服を着る
4)歩きスマホをしない
 などなど。これは高齢者だけでなく、若者でも実行したほうがいいと思います。この他にも、いろんな暮らしの危険へのアドバイスがありました。
 さらに「PART3 災害から守る」では、地震などへの対応の概要が書いてあります。
 例えば、「寝ている時の地震への備え」としては、「日ごろから安全な寝室に(家具の転倒を防ぐ。寝室は直付け式シーリング照明に)」「寝室用避難セットを用意(懐中電灯、靴、軍手)」などが書いてありました(もちろん本書内では、もっと詳しく)
 さまざまな危険とその対策を教えてくれる『高齢者を身近な危険から守る本』。内容が「防犯」、「暮らし」、「防災」と広範囲にわたっている上に、高齢の方が読みやすいよう大きめの活字で書いてあるので、内容はわりとあっさりしていますが、総合的な内容なので、どんな危険があり、どう守るのかの入門書として、とても参考になると思います。
 また、とてもいいと思ったのが、巻頭についている「ポスター」。「もしものときの連絡メモ(名前や関係、電話番号)」、「いざというときの覚書(自分の住所と電話番号、かかりつけ病院(医師名・電話番号)、いつも飲んでいる薬、ケアマネジャー(会社・名前・電話番号)、避難場所、必需品リスト)など」を書けるようになっています。これらを書いて目につくところに貼っておくと、便利に使えると思います。
 とても参考になり、役に立つ『高齢者を身近な危険から守る本』でした。ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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