『図解で早わかり 最新 インターネットの法律とトラブル対策』2022/1/21
森 公任 (監修), 森元 みのり (監修)
インターネットに関連する法律とトラブル対策を総合的に概説してくれる本です(令和3年の特定商取引法、個人情報保護法、プロバイダ責任法など最新の法改正にも対応しています)。主な内容は、次の通りです。
第1章 ネットの法律とトラブル解決の基本
第2章 ネットショップ開設のための知識
第3章 電子商取引・通信販売の法律とルール
第4章 景品表示法のしくみ
第5章 ネット取引とトラブル解決の知識
第6章 ネットと企業のコンプライアンス
第7章 ネット犯罪や悪質商法の被害
第8章 ネットトラブルに遭ったときの対応策
*
「第1章 ネットの法律とトラブル解決の基本」では、ネット取引でのトラブルに適用できる法律には、消費者契約法、特定商取引法、電子契約法などさまざまなものがあることが紹介されていました。
また、サイバー犯罪についての法規制には、以下のようなものがあるのだとか。
1)なりすまし行為(他人のID・パスワードの盗用または電子メール・掲示板上で他人を装う)
→電磁的記録不正作出罪や詐欺罪にあたる可能性あり
2)迷惑メール
→特定商取引法・特定電子メールの送信の適正化等に関する法律による規制
3)誹謗中傷メール
→侮辱罪、名誉棄損罪、民事上の損害賠償責任追及など
*
そして第2章から第5章は、ネットショップやネット取引に関する情報で、ネットショップ開設や運営(さらには閉鎖まで)について参考になることがたくさん書いてありました。
たとえば「第3章 電子商取引・通信販売の法律とルール」には、「過去にトラブルがあった顧客からの注文の拒絶」の場合、次のようにすると良いそうです。
「ネットショップは、顧客の注文(契約の申込み)を承諾する義務を負いませんので、過去にトラブルがあった顧客と取引したくない場合は、申し込みを承諾しなければよいわけです。
ただし、注文を拒絶するとトラブルが発生するおそれがあるので、利用規約を活用してトラブルを回避できるようにします。具体的には、利用規約に顧客による注文だけでは契約が成立しないと明記します。さらに、どのような場合にネットショップが注文を承諾したことになるのかを具体的に記載します。その他には、ネットショップが取引を拒絶できる場合について列挙した条項を設け、利用規約に同意するとのアイコンをクリックしないと注文ができないようにすれば安心でしょう。」
……なるほど。
さらに「第5章 ネット取引とトラブル解決の知識」では、契約の内容に適合しない商品を引き渡された買主の取りうる手段としては、次の3つがあるそうです(もちろん本書内には解説もあります)。
1)追完請求権
2)代金減額請求権
3)損賠賠償請求権・契約解除権
*
また「おもなオークショントラブルと対応策」の一部を紹介すると次のような感じです。
1)オークション次点詐欺(落札者が辞退したという詐欺)
→通常のシステムと異なる手段による連絡には注意。運営者へ確認する
2)返品詐欺(違うものを返品してくる)
→出品物の詳細を発送前に撮影、返品されたものをよく確認してから返金に応じる
3)落札したブランド品がニセモノだった
→落札前に出品者の情報(評価履歴)をよく確認する
4)落札した商品が届かない
→催告の後に契約を解除する、直接or訴訟による返還請求、詐欺の場合は刑事告訴
*
……「返品詐欺」なんていう手口があるんですね! 驚きでした……。
そして最終章の「第8章 ネットトラブルに遭ったときの対応策」には、次の概説があります。
1)損害賠償請求の仕方
2)プロバイダを介したトラブル対応策
3)知的財産権侵害への対処法
4)内容証明郵便の活用
5)裁判所を利用した手続き
6)海外で損害を受けた場合
*
『インターネットの法律とトラブル対策』を総合的に解説してくれる本でした。内容が多岐にわたっているので、それぞれについては概説程度ですが、入門書として役に立つと思います。またインターネットは社会に欠かせないインフラの一つになっているので、社員教育にも使えるのではないかと思います。ぜひ読んでみてください☆
* * *
なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>