『ケアプラン&アセスメントで使える! ケアマネのための医学の知識 (ユーキャンの介護のお仕事シリーズ)』2021/7/19
白井 幸久 (著)

 ケアプランの作成やアセスメントで必要な医学の知識がまとめられている、とても便利な参考書で、内容は次の通りです。
第1章 人体の構造と機能(人体の器官の機能と、各部位の名称をイラストで表示)
第2章 日常の健康管理(高齢者の身体的特性、加齢にともなう現象、高齢者に多くみられる症状)
第3章 疾患とチェックポイント(病気の説明と、アセスメント&ケアプラン作成のポイント)
付録(検査値、退院時カンファレンス、訪問看護導入検討チェックリストなど)
さくいん
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 第1章では人体の構造の基礎知識を、第2章では高齢者の日常の健康管理の方法の概要を知ることが出来ます。
 そして、この本の最大の特徴は「第3章 疾患とチェックポイント」。ここでは現場で出会うことが多い95の疾患の症状を知ることが出来るだけでなく、その疾病別に「アセスで聞くべきこと」、「プランに盛り込むポイント」が書いてあるので、とても参考になります。
 疾患ごとに見開きページで解説があり、左側のページでは、イラスト・図表を使って疾病の症状、治療法、治療や介護の注意点を解説。右側のページでは、その疾患がある利用者のアセスメントのポイント&ケアプラン作成のツボを、チェック式で列挙してくれます。また、疾病に応じて、医療連携のポイントや使える制度、福祉用具・医療機器などもメモしてありました。

 例えば循環器系の病気の「高血圧症」の場合は、左側のページに、「どんな疾患か(自覚症状は少ないが、心臓病のリスクは3倍になるなど)」、「症状(自覚症状がほとんどない場合がある、頭痛、肩こり、めまい他)」、「治療法(薬物療法(降圧剤など))、生活習慣の改善(運動、喫煙・飲酒・食塩摂取の制限など)」が書いてあって、右側のページには、「アセスメントのポイント(1日のうち血圧が上昇する時間やきっかけはあるか、他)」、「ケアプラン作成のツボ(今後の見通しと支援、日常生活の留意点、医療連携のポイントなど)」、「必要な福祉用具・医療機器(血圧計)」が書いてあります。
 ケアマネの方に特に参考になると思われるのが、この「ケアプラン作成のツボ」で、高血圧症の場合の「今後の見通しと支援」には、「高血圧症を放置すると、心不全、心臓発作などの心疾患や腎不全、脳血管障害を発症するリスクが高くなります。栄養指導や生活習慣の改善が重要です。」と書いてありました。
 また「日常生活の留意点」には、「・食事では、全体の摂取エネルギーを抑え、塩分を摂りすぎないようにします。魚や大豆製品などたんぱく質は十分に摂り、カリウムやマグネシウム、食物繊維も摂れるよう心掛けます。」などの6項目が書いてありました。
 さらに「医療連携のポイント」には、「急激な頭痛や胸痛がある場合、血圧変動時には医療職に相談」、「副作用・治療の影響」には、「降圧剤の種類により、動悸、頭痛、ほてり感、起立性低血圧などの副作用」とありました。
 こんな感じに、ケアプランを担うマネージャーの方が、医療の観点から知っておきたい留意点をコンパクトにまとめてある、とても実用的な参考書です。役に立つ情報が満載ですので、介護に関わる仕事をしている方はもちろん、家族に高齢者のいる方も、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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