『なぜあの人は整理がうまいのか』2009/7/31
中谷 彰宏 (著)

 中谷さん流の整理・片付けの法則をまとめた本です。
 その極意は「整理とは、捨てること」にあるようです。整理がうまくなる63の方法の方法を教えてくれるのですが、その大半が「いらないものは捨てよう」というもので……とにかくぐいぐいと「捨てるといいよ」と迫ってくる感じでした(笑)。
 本書の冒頭に「整理がうまくなる63の方法」がまとめて書いてあるので、その部分を読んで気になる方法がある方は、読んでみるといいと思いますが、「5)床に落ちたら、見ないで捨てる」、「23)読みかけの本は、捨てる」、「24)使いかけでも、捨てる」なんていう、ぎょっとさせられるような方法もあるので、こんな方法なら実行したくないと思ってしまう方もいるのではないかと思います。
 私自身はというと……この3つの方法はとりたくないなと思ってしまいました。
 それでも、いくつか参考になる方法も見つけることが出来たので、読む価値はあったと思います。そのうちの数個を紹介すると次のような感じです。
・仕事を、人にまわす(整理できない人は、一言で言うと抱え込みすぎです。)
・あげない、もらわない(いらないモノをあげると、いらないモノをもらうようになる)
・「捨てていいか」を人に聞くと、捨てやすい(誰かが捨てている時は、手伝ってあげることです。ゴミ袋が何袋にもなるぐらい大量に捨てると、テンションが上がります。人のところを片づけることによって自分のテンションが上がり、自分のところを片づけられるようになります。)
・机の上を、物置にしない(チャンスがつかめない人は、空間がないのです)
・写真に撮ってみる(写真を撮ってもらうと、日頃気づかないことに気づきます)
・ブランド品の入っていた紙袋・箱は捨てる(いい運気は、風通しと同じです)
・クリーンデーをつくる。
・整理の流れをつくる(整理というと、固定化していくイメージがあります。整理は、固定化ではなく動いているものなのです。)
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 ……こんな感じで、他にもいろいろ参考になることが書いてありました。
 ただ、残念ながら、すべてに同意できたわけではありません。中でも気になったのが次の記述。
「女性はシャンプーを最後まで使い切ることがありません。気になる新製品が出るとどんどん買ってしまうからです。結局、バスルームはシャンプーだらけになります。」
 これは「24)使いかけでも、捨てる」という方法の説明の一部なのですが、中谷さんは、こんなふうに決めつけられるほど女性を知っている人なのかなーと疑問に思ってしまいました。少なくとも私の家族には、こんな女性はいなかったような……。「男性は工具を一つだけで済ますことはありません。気になる新製品が出るとどんどん買ってしまうからです。結局、工具箱の中は必要なものを探すのが大変になるほど工具だらけになります。」なんて言いきれると思いますか? (……あれ? もしかしたら、これなら言い切れるかも? ……な、わけないか。少なくとも中谷さんの工具箱は整理されているでしょう。)
 ということで、すべてを鵜呑みにするのは危険だと思わずにはいられませんでしたが、こういうノウハウ本というのは、自分にとって参考になることをいくつか見つけられれば、十分、有用なのだと思います。
 最後に、本書の中で一番参考になった記述を紹介させていただきます。
・風の通り道をつくる(家の中に、運気の通り道をつくろう。整理する時には、いったん全部出すことです。)
 ……なるほど……いらないものを捨てて風通しをよくすると、いい運気が通れるようになるのかもしれません。それに、整理するために「いったん全部出す」と、元に戻すだけのためにも全部を見なければならないので、この方法もとても有効だと感じました。
 とにかく「捨てる」ことが強調されている「整理の本」でした。モノが多すぎて捨てたいとは思っているけど、もったいなくて捨てられないと悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。きっと意識改革に役に立つでしょう。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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