『マンガでわかる解剖生理学』2021/5/12
坂井 建雄 (監修)
解剖学(人体のしくみ)と生理学(はたらき)がひとつになった学問・解剖生理学をマンガとイラストで分かりやすく教えてくれる入門書です。人体の重要な部分すべてを網羅的体系的に教えてもらえます。「看護師の国家試験の試験範囲に対応しているので、基礎固めにも最適」だそうです☆
『マンガでわかる解剖生理学』というタイトルだったので、知識部分のボリュームは少なめの入門書かと思ってしまったのですが、決してそんなことはなく、重要な部分の解説をしっかり教えてもらえました。しかもマンガ部分も充実した内容で、マンガを読んだだけでも、だいたいの概要はつかめるのではないかと思います。
例えば「循環器系5 血液のルート2静脈」のマンガでは、なんと「動脈に血液を拍出するためには心臓がポンプの機能を担っているが、静脈にはその機能が及んでいない」という驚きの事実が語られます。「静脈が重力に逆らって下から上へと血液を運べているのは、血管のまわりにある筋肉が収縮することにより、静脈内の血液が圧迫されて心臓へと送られているから」なのだとか! そして「人間の四肢とくに下肢の部分の血管には弁が存在しているが、それは重力に逆らって血液を運ぶため静脈に弁がないと逆流が起きるから」だそうです。……うまく出来ているんですね……。ちなみに同じ姿勢で座った状態を続けていると、筋肉が動かないせいで静脈の中に血の塊ができて『エコノミークラス症候群』を起こしてしまうことがあるそうです。
こういう情報が、マンガの中でも分かりやすく語られていきます。マンガは、2人の先生が3人の学生に教える形式になっています。先生は表紙の真ん中のイケメンと、その頭の上にちょこんと乗っているおじさん、生徒はイケメンの肩から下にいる3人で、ちょっとダメなところもある明るい学生たち(笑)。このキャラクターたちがとても可愛くて、説明も分かりやすくて、最高でした☆
この他にも「胃はタンパク質の消化を助けているが、本格的な消化吸収は行っていない(消化吸収を行うのは小腸)」とか、「エラの名である鰓弓(サイキュウ)が表情をつくっている(頭部骨格・咀嚼筋・表情筋・顔面神経など)」とか、「辛味は味覚ではない(辛味は痛みや熱さで、味覚は甘・塩・酸・苦・旨味の五味のみ)」とか、いろいろな情報を知る(復習する)ことが出来ました。
さらに「痛みが起こる場所と痛みを感じるしくみ」では、「痛みは、痛みの起こる場所によって、大きく体性痛と内臓痛に分けられます」と書いてあって、なんと「内臓にも痛みがある」のだとか!
「(前略)深部痛や内臓痛は痛みの場所がわかりにくいうえに、ほとんど順応しないため、痛みが長く続いてしまいがちです。
また内臓痛は場所によって皮膚に痛みが生じることがあります。これを関連痛といい、臓器によってその場所は決まっています。たとえば、心筋梗塞などの心臓の痛みは左肩から左腕(内側)にかけて痛みが起こり、虫垂炎の場合は上腹部に痛みが生じることが知られています。」
……そうだったんだ。だから具合が悪くて病院に行くと、必ず「どこか痛いところはありませんか」「どんな痛みですか」って聞かれるんですね。
マンガで楽しく勉強できる素晴らしい解剖生理学の入門書でした。テーマごとに、まず「見開き2ページのマンガ」があって、次に「見開き2ページのイラスト付き解説」という構成になっているので、マンガでちょっぴり基礎知識をつけた後に、臓器のイラストを見ながらの学習となり、数多くの医学知識を、息抜きしながら少しずつ勉強できるのが、とてもありがたかったです。
「看護師や、介護士、理学療法士など、人のカラダに関わる人にとって現場で役立つ解剖生理学を、監修の坂井先生が解説。看護師の国家試験の試験範囲に対応しているので、基礎固めにも最適」ということですが、専門家をめざす方だけでなく、人体や健康に興味のある一般の人にとっても、すごく参考になると思います。ぜひ読んでみてください。だんぜんお勧めです☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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