『未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II』2012/5/31
ティナ・シーリグ (著), 高遠裕子 (翻訳)
人は誰でもクリエイティブな能力が備わっている。必要なのはそれを解放させてあげること……創造性を開花させるためのヒントが満載の「イノベーション講座」実践編。内容は次の通りです。
第1章 革命を起こす(リフレーミングで視点を変えよ)
第2章 蜂を招き入れる(ありえない場所にヒントを探す)
第3章 積み上げ、積み上げ、積み上げ、ジャンプ!(アイデアは永遠に止まらない波)
第4章 忘れられた顧客カード(観察力を発揮していますか?)
第5章 机の王国(空間という変数で行動が変わる)
第6章 ココナッツを思い出す(プレッシャーをアイデアの触媒にする)
第7章 猫のえさを動かす(フィードバックはゲーミフィケーションで)
第8章 てっぺんのマシュマロ(チームがはまる落とし穴)
第9章 がんがん動いて、どんどん壊せ(失敗は正しくやり直すチャンスだ)
第10章 魔法の靴を履く人、履かない人(失敗の可能性のあるものは、修正しろ!)
第11章 内から外、外から内へ
*
第1章から第3章は想像力を豊かにするプロセス、第4章は観察力を磨く、第5章から第8章は想像力を左右している環境要因(空間、製薬、インセンティブ、チーム力学)、第9章と第10章はやる気や突破力で、第11章はまとめです。
「クリエイティビティとは、頭で考えるだけでなく、実際にやってみるもの」で、「素晴らしいアイデアを思いつくのにコストはかかりません。そして、その成果は無限大なのです。」
この本は、クリエイティブな能力を磨き、発揮するための実践的トレーニングやエピソードが豊富に紹介されています。しかも面白そうな方法も多くて、やってみたくなりました。
例えばアイデアを出すためのブレインストーミングの方法についても、とても具体的に解説されているので、自社でやってみたけど、いまいち有効ではなかったと感じている方には、とても参考になると思います。
そして日本人として気になったのは、「第10章 魔法の靴を履く人、履かない人」の中の次のエピソード。
「2010年の暮れにはじめて日本を訪れた時、こうした状況(問題の大小を問わず、解決できるとは思っていないために、すぐ目の前に解決策があっても気づかずに、早々にあきらめてしまう)を何度も目にしました。会う人会う人、「日本経済は20年もの長期低迷にあえいでいる」といった類のことを口にするのです。何十回となく聞かされるうちに、このメッセージは日本人に刷り込まれているのだと気づきました。20代前半の若者は、生まれたときからずっと、この言葉を聞かされ続けていることになります。マスコミや学校、家庭で日々、繰り返されるこの呪文は、ひどくやる気をそぐものです。こうした姿勢では、目の前のチャンスにも気づくことができなくなります。」
……本当にそうですよね……若者たちに明るい未来を作って欲しいなら、こんな呪文ばかり言っていてはいけないと反省させられました。シーリグさんは次のように言っています。
「なんとかして大きな問題を解決したいのであれば、まずは自分が解決策を見つけるのだという気概をもつことが大切。(中略)こうした姿勢があれば、ほかの人が障害だと思う個所にチャンスを見つけることができ、自分がもっている資源を活用して、目標を達成できるようになります。(中略)夢とやる気さえあれば、可能性は開けるのです。」
そう、私自身もやる気を出していかないと……。
最後に、シーリグさんからのメッセージを。
「知識は、想像力の燃料です。
想像力は、知識をアイデアに変える触媒です。
このプロセスは、資源、環境、文化など、さまざまな外的要因に左右されます。
姿勢は、イノベーション・エンジンを動かす強力な起爆剤です。」
「イノベーション・エンジンのカギを握っているのは、読者のみなさんひとりひとりであり、クリエイティブな能力は解放されるのを待っています。(中略)私たちひとりひとりが、未来を発明する責任を負っています。みなさんも是非、イノベーション・エンジンのスタートキーを回してください。」
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