『やりなおし高校地学 (ちくま新書) 』2019/9/6
鎌田 浩毅 (著)
大学入試センター試験に出題された問題を解きながら、地球内部の構造、日本列島の成り立ち、地震と噴火のメカニズム、地球温暖化問題、さらには宇宙の歴史まで、「壮大」かつ「実用的な」地学の基礎知識を分かりやすく解説してくれる地学の入門書です。
子どもの頃から理科好きな上に、NHKの人気番組「ぶらタモリ」で地学好きが再燃し、今でも科学雑誌や書籍を読んでいるのですが、この本をふと書店で見かけて、そう言えば、高校では地学をあまり真面目に学んでこなかったことを思い出してしまいました(汗)。大学受験科目に選ばなかったという理由もありますが、高校時代は、「地質」など自分が興味ある部分だけに集中して、苦手な物理・数学的な部分はさっさと流してしまったような……だったら、この機会に「やり直そう」と、さっそく読んでみることに。
結論からいうと……とても勉強になりました! 高校の『地学』をしっかりやり直せた気分で、充実感を得られました(笑)。
知らなかったのですが(汗)、地学は「地質」だけではない、ものすごく広い範囲をカバーしていたんですね! 地学の学習内容は、「固体地球」、「岩石・鉱物」、「地質・歴史」の他に、「大気・海洋」、さらには「宇宙」までが含まれるそうです。
この本を読んで、今まで謎だと思っていただけの「地磁気逆転」についても知ることが出来ました。それは、地磁気逆転中の「地磁気がなくなったとき」に何が起こるのか、という疑問への答えです。
「地磁気逆転とは、地球のN極とS極がひっくり返ることです。(中略)忘れていけないことは、地球の磁場が地球磁気圏という「生命のバリア」で宇宙線や太陽風から地球を守っているという事実です。(地磁気逆転の途中で)磁場がゼロになるということは、生命のバリアもゼロになりますから、地球上の生物が宇宙線に曝されることになります。ちなみに地磁気がゼロになる期間は、1000年ほど続くといわれています。ですから、これが生物の大絶滅の原因の一つだったのではないかとも考えられています。」
……えー、やっぱりそうだったんだ……地球の生命にとっては、すごく大変なことだったんだ……次はいつ起こるんだろう……すぐにゼロになるわけじゃないから、当分は大丈夫だろうけど……。
さらに、2011年3月11日の東日本大震災では、どえらいことが起こっていたことも知ることが出来ました。
「2011年3月11日、東日本大震災を引き起こした巨大地震はこのタイプで、M9というすごいエネルギーでした。この地震は1000年に1度のものといわれ、その巨大なエネルギーは北米プレート上の地盤を大きく変えてしまいました。地震の結果、日本列島は5.3mも太平洋側に移動し、日本の陸地面積は0.9km拡大しました。その結果、日本列島全体の地盤が一気に不安定になってしまったのです。」
……そうだったんだ……。
地学は、このような壮大なスケールの出来事を、科学的に解明する学問で、とても面白くて役に立つようです。例えば、「アイソスタシー」の解説では、次のような具体的な地学現象が紹介されていました。
「北欧のスカンジナビア半島は、約1万年前の最終氷期には厚さ1km以上の膨大な氷河におおわれており、アイソスタシーが成り立っていました。その後、氷期が終わって氷がすべて溶けてしまうと、載っていた氷の分の重量がなくなるので、再びアイソスタシーが成り立つように地殻が隆起を始めました。そのため、過去1万年間に300m近く土地が隆起し、なんと現在でも年間1cmほど隆起し続けているのです。」
こんなふうに、地殻の動きも、科学的に説明と予測が可能なんですね。
この他にも、「水は数千万年のサイクルで大循環していること」とか、見えない「ブラックホール」や「ダークマター」の存在が、なぜ分かってきたのか(想定されるようになったのか)などについても、分かりやすい解説をたくさん読むことが出来ました。
科学好きにとっては、とても面白くてためになる『やりなおし高校地学』の教科書。読み終わった後に、「これで地学の基礎知識を一通り復習できた」という達成感が得られたのが、なんといっても最高でした(笑)。科学全般が好きな方は、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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