『発酵・醸造の疑問50 (みんなが知りたいシリーズ12) 』2019/6/14
東京農業大学応用生物科学部醸造科学科 (編集)

 食生活を豊かにする「醸す」技術の秘密をQA形式で教えてくれる本です。
 ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」を影で支える「発酵調味料」や「発酵食品」などに関する全50問。次のような疑問についての解説があります。
Q:発酵と醸造の違いは何ですか?
・発酵=バクテリアや酵母などの微生物の働きにより、有機酸やアルコール、二酸化炭素などが作られること。
・醸造=発酵を利用することで、酒や味噌、醤油などを製造すること。
Q:微生物ってどうやって増えるの?
微生物は、カビ、酵母、バクテリア、放線菌およびウイルスに大別され、必要な栄養源と環境が整うと急激に生育・増殖します。しかし、その様相は菌によって異なり、それぞれ極めて特徴的なものです。カビや放線菌では、菌糸が伸長し、最後に胞子が形成されます。胞子は、次世代への増殖のもととなるものです。一方、バクテリアの増殖は細胞分裂によるもので、細胞数は順次倍になっていきます。酵母における増殖の様相もバクテリアの場合と類似しています。しかし、酵母は単なる細胞分裂ではなく、出芽・分裂によって増殖します。すなわち、細胞の一部に小さな突起が生じ(これを出芽と言う)、それが次第に大きくなり、元の細胞とほぼ同じ大きさになった時点で二つに分かれるということを繰り返しながら増殖するのです。ウイルスは、他の生物に寄生してその体内で増殖し、機が熟した時点でそこから一気に飛び出します(これら一連の流れを生活環と言います)。
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 1問あたり3から4ページの解説があるので、上に紹介したのはごく一部の抜粋です。他にも、お酒や味噌・醤油、食酢・納豆、環境浄化・エネルギー開発などに関して、いろいろ知ることが出来ました。とっても美味しい「和食」が、なぜこんなに味わい深いのか、和食を陰で支えてくれる「醸造」って、微生物の働きをすごく上手く活用したものなんですね☆
「微生物」とか「菌」とか言うと、なんか悪いものみたいですが(汗)、「発酵」とか「醸造」とかいうと、なぜか、すごく美味しそうに感じてしまいます(笑)。
 日本酒や和食に興味のある方、生物学に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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