『「腸の力」であなたは変わる: 一生病気にならない、脳と体が強くなる食事法』2016/3/18
デイビッド パールマター (著), クリスティン ロバーグ (著), & 3 その他

「いい腸」が「脳の冴え」を生む……自分の腸を「いい腸」にするための実践的方法を教えてくれる本です。ベストセラーとなった『「いつものパン」があなたを殺す』に続く第2弾です。
 前著の『「いつものパン」があなたを殺す』は、私たちが日常で食べているパン、パスタ、シリアルなどのグルテンや糖質が、健康によくないと警鐘を鳴らした本ですが、今回の本は、私たちが日常的にとっている食べ物や薬が、腸内の環境を破壊し、さらには脳と体全体にまで悪影響を及ぼすことを、豊富なデータと事例で明らかにしていきます。
 食生活を改善したことで、うつ病や自閉症などを克服した症例も紹介されていて、一般的に「心」や「脳」の病気とされているものも、食生活の改善で治療できるのかもしれないことを教えてくれます。
「最新鋭の科学では、脳の健康状態、裏を返せば脳の疾患が、「腸内の状態」によって驚くほど高次元なレベルで左右されていることが解明されつつある。」
「私たちの腸に住む細菌は免疫機能、解毒、炎症、栄養の吸収、炭水化物や脂肪をどのように利用するかなど、さまざまな生理行動に作用している。これらすべてのプロセスは、アレルギー、ぜん息、ADHD、がん、糖尿病、認知症などにも強く作用する。マイクロバイオームは気分や性欲、代謝、免疫、さらには認知力や意識の明瞭さにまで影響する。」
 このように、「腸(とそこに住む細菌)」が私たちの健康にとても大事な役割を果たしていることが明らかになってきて、最近では「第二の脳」とさえ言われているのだとか。
「腸内の神経細胞は無数にあり、多くの研究者たちがその全体を「第二の脳」と呼んでいるほどだ。この「第二の脳」は筋肉や免疫細胞、ホルモンをコントロールするだけでなく、非常に大事なものを生み出している。(中略)実は腸内の「第二の脳」はハッピー分子であるセロトニンを、頭のほうの脳よりも多くつくっている。うつ病の治療に、抗うつ剤より食事の改善のほうが効果的であることが多いのは、一つにはこのためかもしれないと、多くの神経学者たちや精神科医たちは気づき始めている。最近の研究では、「第二の脳」は「第二」どころではないこともわかってきている。頭のほうの脳の指令や支援がなくても、「第二の脳」は独立して多くの機能をコントロールすることができるからだ。」
「腸には独自の免疫系がある。腸管関連リンパ組織(GALT)と呼ばれるものだ。これは体の免疫系全体の70~80%を占める。」
「腸(とそこに住む細菌)」は、私たちの免疫反応をコントロールしているのです。そして、免疫反応をコントロールして体を健康に保つだけでなく、セロトニンまでつくっている「腸」。この本は、さらに「腸」を元気にする(保つ)ための方法も教えてくれます。
・気持ちのいい腸内環境をつくる「6つの食べ物・食べ方」
1)「プロバイオティクス」が豊富な食品を選ぶ(発酵食品など)
2)「プレバイオティクス」が豊富な食品を選ぶ(ニンニク、玉ねぎなどに含まれる)
3)炭水化物を減らし、良質の脂肪をとる
4)ワイン、紅茶、コーヒー、チョコレートを楽しむ
5)水道水は濾過して飲む
6)季節ごとに断食する
 もちろん本の中には、もっと詳しい説明があります。
 さらに、「選ぶべき5種のプロバイオティクス」として、「ラクトバチルス・プランタラム」「ラクトバチルス・アシドフィルス」「ラクトバチルス・ブレビス」「ビフィドバクテリウム・ラクティス」「ビフィドバクテリウム・ロングム」が、また「腸内を元気にする5つのサプリメント」として、「DHA」「ターメリック」「ココナッツオイル」「アルファリポ酸」「ビタミンD」が推奨されていました。
「腸」を改善することで、肥満などの体の健康だけでなく、うつ病や認知症(アルツハイマー病)、自閉症などの治療が進んだ事例もあるそうです。
 この本で紹介されている「6つの食べ物・食べ方」は、昔から「体によい」とされてきたものが多く、私自身もすでに食べているものが多いので、今後も食べ続けていきたいと思っています。
 また運動も「腸(腸内フローラ)」の改善に役立つそうです。
「新しい研究によると、運動は腸内細菌のバランスを改善して体重の増加を防ぐ」
 この本で推奨されている方法は、薬を使う方法ではなく、少なくとも「健康を悪化させる」心配はないものが多いので、うつ病などに悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください☆
   *    *    *
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>