『ITロードマップ 2019年版: 情報通信技術は5年後こう変わる!』2019/3/8
野村総合研究所デジタル基盤開発部 (著), NRIセキュアテクノロジーズ (著)
「エッジAI」「データサイエンス・プラットフォーム」「非金融分野のブロックチェーン活用」「5Gと次世代ワイヤレス技術」「ドローン」……情報通信技術が5年後にどう変わっているかを予測して教えてくれる本です。
「ITロードマップ」とは、特定のIT領域について、現在から5年程度先までの技術の進化を予想した年表形式の「マップ」です。各技術のロードマップには、予想の根拠となる研究開発、製品開発の動向、今後の課題などについての解説があり、野村総合研究所が毎年発行しています。2019年版の内容は次の通りです。
第1章 ITロードマップとは
(『ITロードマップ』とは、『ITロードマップ2018年版』の要約 ほか)
第2章 5年後の重要技術
(エッジAI―AIの信頼性や応答性、セキュリティを高める、データサイエンス・プラットフォーム―データ活用の民主化の始まり 他)
第3章 複合的なITの活用による新サービスの可能性
(EX(Employee Experience:従業員体験価値)、情報銀行と信用スコア―パーソナルデータを活用した新ビジネスの離陸)
第4章 デジタル時代のセキュリティ
(デジタルビジネスにおけるセキュリティ新機軸、プライバシーの保護とIDの本人確認 ほか)
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情報通信技術はとにかく変化が激しくて、ついていくのが大変なので、このように毎年、最新情報と今後の予測を、本の形にして、まとめて出してくれるのは本当にありがたいと思います。また、去年の『ITロードマップ2018年版』の要約もあり、今後の予測の記事を読む前に、前回の記事の簡単な総復習が出来るのも嬉しいです。
今回、「5年後の重要技術」として取り上げられていたのは、「エッジAI」「データサイエンス・プラットフォーム」「非金融分野のブロックチェーン活用」「5Gと次世代ワイヤレス技術」「ドローン」の5つ。これらの技術を知っておくことは、今後の情報通信技術についていくためにも、絶対に無駄にならないと思います。
例えば、「エッジAI」というのは、「クラウドのAIサービスを利用する代わりに、スマートフォンや産業用機械のようなデバイス中にAIを組み込み活用すること」ですが、その登場の背景としては、「AIの自律性、データのセキュリティ、データ主権の確保へのニーズの高まり」があるそうです。
このうち「AIの自律性」とは、ネットワークなどの外的要因に左右されず、常に一定の信頼性と応答性を保証することを意味するのだとか。確かに「自動運転車」などでは、運転中の判断に時間がかかりすぎたり、ネットワーク障害などで運転できなくなってしまったりすると、致命的な結果を招きかねません。
また、「データのセキュリティ、データ主権の確保」の二つは、企業の機密性の高いデータや、個人情報などを「どこかに送信せずに端末内に留め、自分のデータは自分が制御して自分だけのために使いたい」という要求が増えていることだそうです。
そしてAIのエッジとクラウドに関しては、次のように解説されていました。
「AIの実装を進めていく上では、活用シーンに応じてクラウドとエッジを使い分けていくことが必要となるだろう。たとえば、自動運転車のような即応性が必要なシーンでは、エッジが望ましい。生体認証などの取り扱いに注意を要するデータ処理にAIを活用する際にも有効である。
一方で、膨大な量のデータ処理が必要とされるAIの学習には、引き続きクラウドが有効である。また、気象予測のように、推論であっても非常に大きな計算処理を必要としたり、1つの予測を多くで共有したりするようなシーンではクラウドが使われるだろう。
クラウドとエッジのそれぞれの特性を生かすことで、AIの活用はさらに発展していくと予想される。」
このような感じで、新しい技術動向を概観することが出来ます。
この本は、ITをビジネスに活用する企業の経営者やCIO、企画部門の方、実際にITの開発や運用に携わる仕事をする方々が、今後のITをどのように活用していくかを考える上で参考になるだけでなく、説明資料を書く際の参考資料としても、とても役に立つと思います。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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