『回復力~失敗からの復活』2009/1/16
畑村 洋太郎 (著)

人は誰でも失敗して落ち込むことがあります……が、本当に大切なのは、そこから。自分の回復力を信じて待つことができれば、必ず壁は乗り越えられるのです。そのためのコツを、失敗学の第一人者の畑村さんが示してくれる本です。
実は、『回復力』というタイトルから、「失敗から素早く回復する」方法を教えてくれるのかと勘違いしたのですが、むしろ「必ずしも素速く回復する必要はない」ことを教えてくれる本でした。
たとえば、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で、理事長の山内さんは、ロケットの打ち上げ失敗で大変なストレスに見舞われたそうですが、これに関して、著者の畑村さんは次のように言っています。
「ロケットの打ち上げは本来、未知のことへの挑戦という、いわば失敗するのが当たり前の世界なのです。それなのに社会は「一度の失敗も許されない」という見方をしているのですから、そこには大きなミゾがあり、それがプレッシャーとなります。」
そして次のように言っています。
「失敗した人や失敗のリスクを負う人をこのような形で必要以上に追い込まないようにするためには、根本的には、社会に対する社会の認識を変えるしかないのです。(中略)失敗した人や失敗のリスクを負う人が潰されないようにするための取り組みを、社会や組織として真剣に行わなければならないと思っています。そして、その前提には、人は誰でも失敗するし、そうした場合は、誰でもうつなどの精神的ダメージを受ける可能性があるという認識が必要なのです。だからこそ、大きな失敗をした人に対しては、精神的なケアを含む周囲のサポートが重要なのです。」
……確かに、そうですね。
私たちは何かで「失敗」した時に、茫然となりながらも、なんとかそれを挽回しなければならないと必死に努力して、結果的に自殺に至ってしまうほど疲れ果ててしまうことがありますが、畑村さんはそれを防止するために、この本を書いたそうです。
人間はとても「弱い」ものなので、失敗して焦っている時に、うまく対処できないことは、よくあるのだとか。
「失敗によってショックやダメージを受けると、当人は穴が開いたような状態になって、エネルギーが漏れていってしまうからです。そうなると、失われたエネルギーが回復しないことには、その人は正しい判断や行動もできません。だから失敗直後にその後始末をすぐにうまく行うことができないのです。」
……これも確かに、そうだと思います。
もちろん「事故を起こしてしまった者が絶対にやらなければならないのは、「真摯に反省すること」と、「再発防止につながる行動を起こすこと」です。」とも言っていますが、必ずしも「事故を起こした本人が対処しなければならない」わけではありません。周囲の人がサポートして失敗(または事故)からの回復を行い、失敗を乗り越えていく手助けをしてあげることも大事なようです。
そして周りの誰かが失敗した時には、「頑張れ」などと「励ましの言葉をかけるより相手の話をただひたすら聞いてやるほうがはるかに効果的です。これは私の体験からも自信を持って言えます。」なのだとか。私も周囲の誰かが失敗した時には、その人が回復できるよう暖かく見守りつつ、ときには「傾聴」してあげられるよう心がけたいと思います。
「不思議なもので、人はエネルギーが戻ってくると、困難なことにも自然と立ち向かっていけるようになります。これは人間がもともと持っている「回復力」の為せる業です。回復に必要な時間は人によっても失敗の種類・大きさによってもまちまちですが、エネルギーが回復すると必ず自発的に行動したくなります。そうなるのをひたすら待つのが、遠回りのようですが、じつは最善の策なのです。」
……「失敗」した時に、本人がどう対処すべきかだけでなく、周囲の人間としてどう対処すべきかを教えてくれる本でした。ぜひ読んでみてください。
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