『図解入門業界研究 最新宇宙ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本』2018/10/20
齊田 興哉 (著)
宇宙ビジネスや宇宙技術の最新情報と基礎知識を、分かりやすく解説してくれる入門書。日本の宇宙ビジネスの市場規模から、ロケットや人工衛星の基礎知識、宇宙強国を目指す中国の宇宙ビジネス、ベンチャー企業のユニークな取り組みなど最新情報が満載です。
宇宙ビジネスだけでなく、宇宙技術の最新情報がたくさん掲載されていて、すごく興味深かったです。SFみたいだと思っていた「宇宙エレベーター」の建設に、真剣に取り組んでいる会社もあるんですね! カナダのあるベンチャー企業が、宇宙エレベーターに関する特許取得しているそうです。屋上でロケットの打ち上げの他、観測・通信を行い、側面で風力発電、さらにホテルや展望デッキもあるのだとか……。
また「第4章 ロケットビジネスの最前線」では、ロケットの新たな打ち上げ方法が紹介されていて、これもとても面白かったです。例えば、ヴァージン・ギャラクティック社は、飛行機(ボーイング747)からロケットを打ち上げることを計画しているそうです。ロケットの空中発射……見てみたいです。地上から発射するよりも、すごくお金がかかりそうな気がしましたが、実はコストの削減になるのだとか! 空中発射には、1)ロケットの射場が必要なく、その設備費、運用費などが大幅に削減可能、2)最適な場所まで移動して打ち上げ可能、3)天候による打ち上げ延期も回避、というメリットがあるそうです。そうだったんだ……。
さらに、日本ではマイクロ波ロケットの開発が進んでいるそうで、その原理は次の通りなのだとか。
「地上に整備された多数のアンテナからマイクロ波をロケットに向けて照射します。ロケットには、リフレクターと呼ばれる鏡を設置し、その部分にマイクロ波を集光させると、焦点付近に非常に高いエネルギーが集まり、そのエネルギーにより焦点付近の空気が電離し、プラズマという状態になります。このプラズマは電磁波のエネルギーを吸収する性質を持ち、マイクロ波のエネルギーを吸収して数万度近い超高温を発生させ、爆発現象をおこし、この爆発による力をリフレクターが受けることで推進力を得る仕組みです。ビーミング推進といいます。」
これには従来型のロケットに比べて、次の3つのメリットがあるそうです。1)燃料重量比が低い、2)安全性が高い、3)低コスト化……うーん、素敵ですね☆
こんな感じの「へえー」的な興味深い宇宙ビジネスの最新情報が満載。実際にビジネスにつなげられるかどうかは分かりませんが、未来のビジネスを考える上で、とても参考になりそうです。SFがどんどん現実化しているんですね。読んでみてください。
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