『ひと目でわかる! 見るだけ読書』2024/2/28
浅田 すぐる (著)

 トヨタの「紙1枚」文化を洗練させた浅田さんが、1万冊以上の読書体験と1万人以上の社会人教育経験を踏まえたうえで、絶対に読むべき24冊の本を厳選。パッと見るだけの圧倒的な分かりやすさで名著の本質が分かる1枚シートに加え、著者の用意した1枚ワークを埋めるだけで、名著のエッセンスが一読で身につくことを教えてくれます。
「はじめに」によると、この本は、担当編集者からの次のオファーを受けて書くことになったそうです。
「浅田さんの紙1枚スキルをフル活用して、名著からそのエッセンスだけを抜き出してください。加えて、読者も紙1枚を見たり、埋めたりするだけで即スキル化して使えるところまでいけてしまう。そんな一生役に立つ魔法のような本を書いてください!」
 そんな本書の特徴は、次の3つ。
1.読むべき適切な本を厳選
2.「1枚」にまとめるつもりで「読む」
3.「読んだ後」に「ジブンゴト化」する
 ……この「ジブンゴト化」とは「自分の仕事や人生の状況に当てはめる」ことです。
 本書が推薦する「絶対に読むべき24冊」は、「序章の5冊は、本書の「ベース」になる本であるのと同時に、何歳になっても必要となる一生ものの「基礎・土台」です。続く第1章の7冊は、働くうえで切っても切れない「人間関係・コミュニケーション」についての学びが得られる本を選びました。一方、第2章の7冊は生涯にわたって必要不可欠な「成長」の本質について、最後の第3章は「自分の人生をどう思い通りに生きて行くか?」の柱となる5冊を、それぞれガイドしていきます。」というもので、次の通りでした。
『アイデアのつくり方』
『経営者の条件』
『7つの習慣』
『イノベーション・オブ・ライフ』
『二宮翁夜話』
『学問のすゝめ』
『愛するということ』
『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』
『愛の論理』
『ユダヤ人大富豪の教えⅢ』
『アリストテレス 弁論術』
『つきあい方の科学』
『道をひらく』
『センス・オブ・ワンダー』
『フロー体験入門』
『超一流になるのは才能か努力か?』
『マインドセット』
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
『一勝九敗』
『論語』
『銀行王 安田善次郎』
『ストーリーとしての競争戦略』
『ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則』
『それでも人生にイエスと言う』
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 どれも確かに読む価値のある良書ばかりだと思います。
 さて、この本のタイトルは『見るだけ読書』だったので、本を「読む」のではなく、ぱっと「見る」だけで内容が分かってしまう……みたいな魔法の技術を教えてくれるのかと期待してしまったのですが(苦笑)……そうではなく、きちんと「読んだ」上で、見るだけで分かるような「1枚」の形にまとめる……ということのようでした。
 なーんだ、そうだったんだ……と思ってしまいましたが……内容のエッセンスをマトリックス状にしたものを作ると、確かにすごく理解が進みそう。実際に、最初に紹介される本『アイデアのつくり方』を使って、マトリックス状にまとめる方法を詳しく説明してくれるので、これを真似して自分でもやってみると良いと思います。
 なお、ここで紹介されている24冊については、浅田さんが「1枚」にまとめて、「見るだけ読書」ができるようにしてくれています。
 24冊のなかで個人的に面白いと感じたのは……
・『学問のすゝめ』福沢諭吉
(一身独立のためにも社交力が常である:社交力→ヒトの役に立てる力→人望を得る力)
・『アリストテレス 弁論術』
(分かりやすく伝えてもダメなら、相手の感情に訴えてみる伝え方を試す。「理解」に加えて、「信頼」「共感」につながるアクションを日々積み上げていくのが効果的)
・『つきあい方の科学』R.アクセルロッド
(まずは信じる、でもやられたらやり返す、ただし倍返しではなく同程度でOK)
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『ひと目でわかる! 見るだけ読書』……読んだ本を「紙1枚」にまとめるという「実践的に役に立つ」読書法を教えてくれる本でした。とても新鮮な考え方だったので、みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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