『専門医が教える! 腎機能を守る食べ方・運動・生活習慣』2024/3/18
森 維久郎 (監修), 大城戸 寿子 (監修)

「物言わぬ臓器」腎臓を守り、健康寿命を伸ばすために知っておきたい知識と対処法を解説してくれる本で、内容は次の通りです。
第1章 腎臓と慢性腎臓病
第2章 慢性腎臓病の検査、診断、治療
第3章 腎臓を守る食べ方の基本
第4章 もり式 食事療法がラクになるお助けテクニック
第5章 もり式 自宅でできるエクササイズ
第6章 腎臓にやさしい生活習慣

「第1章 腎臓と慢性腎臓病」によると、腎臓には次の4つの役割があるそうです。
1)血液をきれいにする
2)尿をつくって出す
3)必要な成分のバランスを調整する
4)ホルモンを分泌する
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 そして慢性腎臓病とは腎臓の機能が慢性的に低下した状態をいい、主な原因には次のものがあるようです。
1)糖尿病、高血圧、動脈硬化、脂質異常症などの生活習慣病
2)加齢
3)IgA腎症などの免疫の病気
4)多発性嚢胞腎などの遺伝性の病気
5)先天的な腎臓の形の異常
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 腎機能低下の主な自覚症状には、次のものがあるそうです。
1)むくみ(水分調整がうまくいかず余分な水分がたまる)
2)だるさ(老廃物が体内に残る)
3)筋肉と筋力の減少
4)頻尿
5)骨折しやすくなる(ビタミンD生成が減り、骨がもろくなる)
6)血圧が上がる(血液中の水分やナトリウム量が調整できなくなる)
7)尿が泡立つ(タンパク質が排出される)
8)腸内のバランスが崩れる
9)貧血(造血ホルモンのエリスロポエチンが不足する→赤血球が減る)
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「第2章 慢性腎臓病の検査、診断、治療」には、腎臓は「物言わぬ臓器」なので、血液検査と尿検査が重要だと書いてありました。
 そして原疾患別の治療のポイントは……
1)糖尿病が原因:血糖値コントロール(糖分コントロール食事、運動療法、投薬)
2)高血圧、動脈硬化が原因:血圧コントロール(塩分コントロール食事、運動療法、投薬)
3)肥満が原因:肥満予防
……と言うことで、食事や運動は、治療のためにも、とても大切なようです。
「第3章 腎臓を守る食べ方の基本」によると、腎臓病の食事療法の中心は、食塩、タンパク質、エネルギー量の調整だそうです。ちなみに1日の食塩の適正量は3g以上6g未満で、日本人の平均摂取量の約半分だとか。その他、タンパク質、エネルギー、ミネラル(カリウム、リン、カルシウム他)、水は、腎臓に負担をかけないために、「適量」の摂取が大事なようでした(本書内には、その理由や食材等について、詳しい説明がありました)。
 さらに「第4章 もり式 食事療法がラクになるお助けテクニック」では、減塩を成功させるテクニック(香味野菜や酢などの調味料を活用、とろみをつける、など)も紹介されています。
 そして「第5章 もり式 自宅でできるエクササイズ」では、椅子に座って行う運動や、軽い筋トレ、寝てストレッチなどの具体的なエクササイズが、イラスト付きで解説されていましたが……腎臓病の方や高齢者の方向けなのか、かなり軽度のエクササイズのように感じました。
 最後の「第6章 腎臓にやさしい生活習慣」では、「タバコは百害あって一利なし」とか「節度ある適度な飲酒量」とか、「1日30分程度のウォーキング」、「質のいい睡眠で病気予防」、「歯磨き習慣の徹底」など、一般的に「健康によい」習慣が紹介されていました。
『専門医が教える! 腎機能を守る食べ方・運動・生活習慣』……腎臓病の症状や原因、治療法だけでなく、予防や治療するための食事・運動・生活習慣について具体的に教えてくれる本で、とても参考になりました。
 まだ腎臓病になってはいないと思いますが、「一般的に健康に良い」とされる生活は腎臓病の予防にもなることを知ることができて、有意義だったと思います。今後も健康生活を続けたいと思います。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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