『梶野先生。大学の先生に喜ばれるレファレンスって何をすればいいの? ?ストーリーでわかる研究活動サポートの考え方? (教えて!先生シリーズ)』2024/3/31
DBジャパン (編集)

 立新大学図書館で働く司書・鈴木智美さんが、大学図書館で働く上でのスキルアップを考える中で茨城大学研究・産学官連携機構URAの梶野先生と出会い、大学の先生の研究支援に向けたワンランク上のレファレンスのあり方や考え方を少しずつ学んでいく物語で、「「教えて!先生シリーズ」全3冊のうちの1冊です。
 この本は「物語形式」で話が進んでいき、「レファレンスのあり方や考え方」などの部分は、智美さんと図書館の同僚や上司との会話や、梶野先生の講義で語られていくので、どんどん読み進められます。
 なかでも役に立つのが、梶野先生の講義☆ 研修室の画面に映し出されるようなプレゼン資料もあるので、本当に講義を聞いているような気分で、「レファレンスのあり方や考え方」を学べてしまいます。
 例えば、梶野先生の『RAから見る図書館司書の可能性』というタイトルのセミナーでは、最初の画面は、次の「RAとURA」。
・RAとは
RA (Research Administrator):研究機関において、研究力活性化のための分析、推進、管理、支援やその利活用に関する業務、いわゆるリサーチ・アドミニストレーション業務を行う専門人材のこと。
・URAとは
 URA(University Research Administrator):RAの中でも大学における専門人材として、区別して使われることも。
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 そして「URAの業務」とは、次のようなもの。
・研究戦略推進支援:政策情報分析、研究力分析など
・プレアワード:研究プロジェクト企画、外部資金獲得支援など
・ポストアワード:プロジェクト進捗管理、評価対応など
・関連専門業務:国際連携支援、知的財産、研究広報など
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 ……このURAの業務の範囲の広さに驚かされました。図書館司書と同じように、資料に関する相談を受けるだけなのかと思いきや……これじゃ、研究に関するプロジェクトマネージャー(支援)みたいじゃないですか! 研究プロジェクトの企画から進捗管理までやるなんて……。もちろん一人でやるわけではないようですが……。
 そして「URAの業務理解に役立つ資料」としては……
・一般法人リサーチ・アドミニストレーション協議会の報告書
・文部省の『リサーチ・アドミニストレーターの認定制度の実施に向けた調査・検証』
・NCURA(National Council of University Research Administrators)のホームページ
 ……などが紹介されていました。
 また「研究力分析に有用な引用文献データベース」としては、「Google Scholar」、「Web of Science」、「PubMed」、「Scopus」などがあるようです。
 その他の参考情報としては……
「研究データポリシー」に関して
・内閣府『国立研究開発法人におけるデータポリシー策定のためのガイドライン』
「国の科学技術政策情報」に関して
・文部科学省『科学技術白書』
・内閣府ホームページ(『統合イノベーション戦略』の進捗や今後の方針など)
「機関リポジトリ」について
・国立大学図書館協会オープンアクセス委員会
・大学図書館コンソーシアム連合JUSTICE
・NII(国立情報研究所)の『研究データ基盤』の概要説明Webページ
「RDM(研究データ管理)の方針やガイドライン」について
・経済産業省『委託研究開発におけるデータマネジメントに関する運用ガイドライン』
・国立研究開発法人・日本医療研究開発機構(AMED)『AMEDにおける研究開発データの取扱いに関する基本方針、AMED研究データ利活用に係るガイドライン、データマネジメントプラン』
・NII(国立情報研究所)『NII研究データ基盤システムの概要』
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 ……などの情報が参考になるようでした。
『梶野先生。大学の先生に喜ばれるレファレンスって何をすればいいの?』……「研究活動サポートの考え方」を物語(+講義)形式で分かりやすく教えてくれる本でした。図書館で働いている方や、RA、URAを目指している方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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