『第25代京都大学総長・松本紘対談集 賢知の世界 各界リーダーと考える日本の未来』2024/3/15
松本 紘 (編集)
松本紘・第25代京都大学総長と各界リーダーの対談集です。
対談相手は、社会・宗教/経済・ビジネス/科学/環境・エネルギー/教育/建築・アート・スポーツの各分野で活躍する49人、対談を通じて、“知” の視点から日本の未来を考えています。(なお、本書はDMG森精機株式会社の企業広報誌『つながり』(2012年1月号から2024年1月号)の巻頭対談記事から抜粋して再構成したものだそうです)。
対談相手は、各分野で活躍している著名な方ばかりなので、とても参考になる意見をたくさん読むことが出来ました。そのごく一部を紹介すると、次のような感じです。
「第1章 社会」
「企業にとってのSDGs」(根本かおる(国際連合広報センター 所長)×松本紘 対談)から……
「松本 企業も同じで、「グローバリズムで日本のマーケットが縮小する中で、諸外国へ出ていったときに、受け入れ国に溶け込むのが難しいといった経験をしています。最初は、日本の国がでしゃばってきたという気持ちがあるかもしれませんが、企業は努力してその国の文化や慣習などを身に付けながら居着き、その国に溶け込んでいきます。
そのときに、SDGsという共通の目標を定め、どの国もその目標に取り組んでいることが分かれば、日本の企業もSDGsに基づいて世界に出ていくケースが増えていくのではないかという気がします。外国に出ていっている企業は苦労をしており、共通認識がなければ非常にやりにくい状況になっています。一国だけならその国の文化だけを考えればいいのですが、多国籍になってきましたから、SDGsは企業にとってもプラスになるはずです。
根本 言ってみれば、SDGsはある種世界の共通言語です。同時に、この共通の物差しがあれば、自分たちで好事例や教訓、失敗をお互いにシェアし、学び合えます。それが日本を含めた先進国が、SDGsに熱心に取り組んでくれている背景の一つにあります。日本の場合、言語の壁がありますから、依って立つべき共通の座標軸があると、メリットになるはずです。」
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……SDGsを世界共通言語として、共通の物差しに使う……とても良い視点だなーと思います☆
さらに「第2章 経済・ビジネス」
「イノベーションを生む和財」(小宮義則(特許庁 長官)×松本紘 対談)」からは……
「小宮 (前略)日本の開発者が「真似しろ」と、よく言っているDARPA(ダーパ:米国国防省高等研究計画局)では、単純にお金を出して競争させるだけではなくて、チャレンジして優勝した企業には試作品を何十台かつくらせて、軍に投入するわけです。兵士が使い勝手を試して、フィードバックされてきた意見を改良・修理に役立てています。基礎的な技術が製品技術になり、軍によって民間に開放され、それが民生品になるといった一連のストリームラインができているのです。」
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……へえー、DARPAは、単なる技術コンテストではなかったんですね……。
この他にも、「iPS細胞ヒストリー(山中伸弥)」、「地球環境に影響を及ぼす水問題(沖 大幹)」などなど、さまざまな分野をリードしている方たちの考え方を知ることが出来ました。
これらの対談はもともと広報誌の巻頭対談記事なので、5~6ページ程度の長さのものが多く、ちょっとした隙間時間に斜め読みするのにも最適。休憩時間や通勤時間などの隙間時間を充実させたい方は、ぜひ読んでみてください☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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