『3Dでみるメカニズム図典: 見てわかる,機械を動かす「しくみ」』2023/12/27
関口 相三 (著, 編集), 平野 重雄 (著, 編集)

 機械設計に必要となる各種機械要素・機構について、「3Dモデリング図」と「2D図」を同一ページ上に展開して、学習者が、その「しくみ」を、より具体的な形で「見てわかる」ように構成・解説してくれる『3Dでみるメカニズム図典: 見てわかる,機械を動かす「しくみ」』です。
「はしがき」には次のように書いてありました。
「本書の原典でもある『メカニズムの事典』(1983年発行、オーム社)は、そもそも東京工業大学名誉教授 浅川権八(あさかわ ごんぱち)先生のご著書で、1912年(明治45年)初版発行の名著『機械の素』の改題・縮刷版である。(中略)
 本書の核となる「メカニズム研究会」では、この原典『メカニズムの事典』に掲載の機構の数々から着想を得て3D画像を制作し、機械設計に必要となる各種機械要素・機構を「3Dモデリング図」と「2D図」を同一ページ上に展開して、学習者がその「しくみ」をより具体的な形で「見てわかる」ように構成・解説している。あくまでも原典のよさを損なうことなく、当代にマッチした機構を厳選した。」
「(前略)身の回りにある機械は、各種機構の「しくみ」と、そのしくみの組合せ(メカニズム)によって動いている。機械を設計する上では、そのしくみと特性を、十分に理解する必要がある。そのようなときに役立つ本として、本書は企図された。」
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「序章 機械を動かす「しくみ」」では、機構学などについて簡単な解説があります。例えば「機構学」については……
「機構学とは、機械装置を構成するメカニズムのことで、機械部品の実際の形状、材質および伝達される力には、直接関係せずに、構成する要素の動作を系統立てて、要素の組み合せから得られる運動(相対運動)を学ぶ、機械工学の一分野である。」
 そして本書がもっとも活かせると思われる「メカニズムの構想」段階では……
「(前略)設計目標である対象が決まると、まず対象に必要な動きが想定される。次に、その動きをどのようなメカニズムで対応するかがポイントとなる。」
 ……ということで、いくつかのメカニズムを構想した上で、複数の選択肢から最適な1つを選ぶことになりますが、その時には、動きを構成する要素の単純なもの、必要な力、エネルギーの少なさ、精密さなどを満足させるかなどを検討した上で決定します。
 この「メカニズムを構想」する段階で、この本はとても役に立つと思います。パラパラめくって眺めると一目瞭然なのですが、内容のほとんどが「メカニズムの図形モデル」なので、頭で構想したモデルと本書の図形モデルを比較するとか、そもそも、ある機能を実現するためのメカニズムにはどんなものがあるのかを知ることが、とても簡単にできるのです。
 たとえば「03章 スライダクランク機構」では、章扉に、次のような機構の簡単な解説があり、「スライダクランク」、「並列スライダクランク」、「早戻り機構」、「トグル機構プレス」などスライダクランク機構を使った機構の名前が書いてあります(要するに章の目次です)。
 解説部分は……
「スライダクランク機構は、従動リンクが摺動するスライドになったもので、原動リンクの回転運動を往復直線運動に変換する。直進対偶および回転対偶で連結される節をスライダ、固定軸回りに完全に回転する節をクランクといい、静止節と直進対偶を形成するスライダおよびクランクからなる四節リンク機構をスライダクランク機構という。すべりを使う機構なので、設計時には摩擦や摩耗に注意しなければならない。」
 ……そして次のページをめくると「スライダクランク」の機構の1事例の「3Dモデリング図」と「2D図」と「概要と作動原理の簡単な解説」があります。この図形がとても分かりやすくて参考になりました。
 もっとも本書は専門家向けの本なので、鉄などの金属で実現されると思われる機構が圧倒的に多く、紙やプラスチックで作るような普通の工作好きには、残念ながら実現不可能な機構が多かったのですが……。そういう意味で、普通の工作好きにはオーバースペックな本ですが、いろんな機械の仕組みの一番大事な部分をじっくり眺められて、とても興味津々でした(笑)。
 まさにタイトル通りの『3Dでみるメカニズム図典: 見てわかる,機械を動かす「しくみ」』……アタマの中で2Dと3Dを行き来することで、独創的な組合せを生み出す「思索の素」でした。「2次元の図から3次元の実物をイメージすることが難しい」と感じている工学系の学生の方や、仕事・研究をしている方は、ぜひ一度、眺めてみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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