『「自分の歯を一生残したい!」と思ったら読む本 病気を防ぐ! ずっと美味しく食べられる!入れ歯・インプラントが不要!』2023/6/16
江﨑 友大 (著)
予防歯科とは虫歯や歯周病を未然に防ぎ、口の中の健康を維持することを目的とした歯科医療。この本は、予防歯科がなぜ大切なのか、一生自分の歯を守るために必要なことは何かを解説してくれます。
「はじめに」には次のように書いてありました。
「実は、予防歯科は正式な診療科の名前ではありません。医療法で定められている診療科は、一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科の4つしかないのです。
予防歯科とは、虫歯や歯周病を未然に防ぎ、口の中の健康を維持することを目的とした歯科医療を意味します。ブラッシング指導などに力を入れ、患者が自分の歯で一生、ものを噛めることを意味します。(中略)
具体的には、患者は自分で歯磨きするだけでなく、3か月~半年のサイクルで歯科医院に定期検診に通い、歯磨きなどで除去できない歯石を取るなど専門的ケアを受けます。これをメインテナンスといいます。メインテナンスを継続することで虫歯や歯周病を防ぎ、あるいは進行を食い止めて最小限の治療で済ませることができるのです。」
そして「70代まで天然歯を20本以上残せていれば、健康への不安が少なくなります。」だそうです。
天然歯が残っていることは、消化が良くなるだけでなく、口腔内の健康を保ち、転倒や認知症のリスクを下げることにつながるそうで、歯を失う原因は歯周病と虫歯なのだとか。
本書では、診療の具体例として、江﨑さんの歯科医院で行っている5ステップの流れ(初診→初期治療→評価→治療→再評価)の概要も説明してもらえます。
「当院ではX線(レントゲン)写真や口腔内写真の撮影、歯周ポケットの検査などを行って現状を把握すると共に、サリバテスト(唾液検査)の結果などからむし歯や歯周病のリスク評価を行い、歯石除去などプロフェッショナルケアも実施します。
口腔内の状態がよくなったら治療に移りますが、歯を削るのは最小限にとどめます。治療後にセルフケアの実践結果などを再評価して、定期的メインテナンスへとつなげていきます。」(なお本書内では、さらに詳しい説明があります。)
……このような予防治療は、とても大切なことだと思います。次のようにも書いてありました。
「(前略)従来の「歯が痛くなったら歯科医院に行って治療してもらう」という考え方では、虫歯を繰り返し、歯周病を重症化させ、どんどん歯が悪くなってしまいます。高齢になっても20本以上の天然歯を保つには「口腔内が健康なうちに、その状態を維持し、虫歯などの疾患を予防するために歯科医院に定期的に通う」ことが必要です。自分の歯で一生ものが噛めることは、生活の質を高め、健康寿命を延ばすことにつながります。歯科医療全体が、「治療」から「予防」へシフトしていくことが求められているのではないでしょうか。」
……その通りだと思います。ただ……残念なことに現状では、予防については保険適用されないそうです。「治療」より「予防」の方が、ずっと国民のためになりそうなのに……。
なおアメリカには、定期検診に行って口腔ケアをすることが加入条件になっている保険があるそうで、これに加入していると保険会社が歯の定期検診を催促してくるようです。こういう方法もいいですね。
さて、本書は他にも、「キシリトールは食品なので妊婦が摂取しても安全」とか、「喫煙習慣は歯を失うことになる原因の一つ」とか、「虫歯予防を考えるなら、歯磨き剤はフッ素配合のものを。歯のエナメル質を傷付けないために低研磨性のものを選ぶのも大事」とか、「自分の歯を一生残す」ためのアドバイスもいろいろ読むことができました。
『「自分の歯を一生残したい!」と思ったら読む本』です。とても参考になったので、みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
* * *
なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>