『最高の家具をつくる方法』2023/4/1
建築知識 (編集)

 造付け家具の計画・監理で悩みがちなポイントを、設計の基本(部位名称・寸法・材料・プランニング・工事)からディテールまで、豊富な写真やイラスト、具体的な図版を使って詳しく解説してくれる本で、書籍『最高の家具をデザインする方法』に「建築知識2014年7月号」家具特集の一部を加えて大幅に加筆、再編集したものだそうです。
『最高の家具をつくる方法』というタイトルだったので、高価な木材を使って、細かい彫刻を施してある芸術的な家具の作り方を思い浮かべてしまったのですが、そういう家具はまったくありませんでした(笑)。
 この本は「造付け家具」のことを総合的に解説してくれる本だったのです。造付け家具は、量産家具と違って一点もので、実際に使う人の要望(デザインや機能、そして費用)を最大限取り入れられる……そういう意味で確かに『最高の家具をつくる方法』なのでしょう。
 ただ……この本は、専門家向けの雑誌に掲載された記事がもとになっているので、専門用語が多用されていて……素人にはちょっと厳しい本でした。
 それでも、家やマンションを作ろうと計画している方にとっては、とても参考になると思います。「造付け家具」を作ってもらうためには、こんなに多くのことを選んで決めなければいけないんだなー……とあらためて痛感させられました。

 さて、「造付け家具」を作るには、家具屋に依頼する家具工事、大工に依頼する大工工事の二種類の方法があるそうです。
 家具工事は仕上げ材・芯材とも自由に選べるメリットがあり、大工工事は現場でつくるので、その場所にぴったり合ったサイズのものができるメリットがあります。次のようにも書いてありました。
「一般に、家具は家具工事より大工工事でつくるほうがローコストだと認識されているが、材料費・金物費・製作手間はほぼ同じだ。ただし、大工工事の場合は、一連の造作工事のなかの1つとして家具の製作も作業できれば、製作手間が作業費の一部に組み込まれて、コストダウンになる可能性もある。」
 両方のメリット・デメリットを考えて、適材適所で使い分けると良いようです。
 なお家具工事では、建物との誤差を補う必要があることが多く、現場で家具を削り合わせるのは大変なので、調整材として台輪(床との調整)、支輪(天井との調整)、フィラー(壁との調整)が必要となるのだとか。
 これら家具工事や大工工事の具体的な流れを、多くの具体的な写真で見ることが出来て、とても参考になりました。
 また家具の表面材を、コスト・用途から選ぶ場合は、「家具の表面材(化粧材)は、部位で使い分ける。キャビネットの場合、扉などの表面材は天然木突き板化粧合板で仕上げ、内部の仕上げは比較的安価なシナ合板やポリ合板を使う」などの一般的な選び方の他、表面材の種類には次のようなものがあることなどが詳しく解説されています。
・代表的な表面材
1)メラミン化粧板
2)ポリ合板
3)シナ合板
4)オレフィンシート
5)無垢材(堅木)
6)天然木突き板化粧合板
7)電子線硬化樹脂化粧板
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 この他にも、家具に使われるガラスの種類には、1)フローガラス、2)摺り板ガラス、3)フロストガラス、4)強化ガラスがあるとか、天板に適した石材系素材には、1)御影石(天然石)、2)大理石(天然石)、3)人工大理石、4)クォーツストーン、5)セラミックがあるとか、その特徴とともに詳しく解説されていました。
 自分の家の「造り付け家具」が、こんなふうに作られていたんだなーということを詳しく知ることが出来て、とても興味津々でした。もちろん使い勝手のことなども、いろいろ考えて作られていたようです。本当にありがたいことです。
『最高の家具をつくる方法』を教えてくれる本でした。建築を仕事にしている方はもちろん、自宅の建築や改築を考えている方にとっても、参考になる情報がたくさんあると思います。ぜひ読んで(眺めて)みてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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