『いのちの惑星、地球。Hey, Baby! ?野生動物の子どもたち (ナショナル ジオグラフィック)』2022/8/26
ステファニー・ウォーレン・ドリマー (著), 新宅 広二 (監修)
ヒマラヤ山脈の頂きから深い海の底まで、愛らしく、いきいきとした野生動物の子どもたちの姿を、素晴らしい写真、素敵な詩や物語で紹介してくれるナショナルジオグラフィックの動物写真図鑑で、内容は次の通りです。
INTRODUCTION
『おはよう』
CHAPTER1 北アメリカの山野で生まれる子どもたち
CHAPTER2 南米のアマゾンや高山地帯で生まれる子どもたち
CHAPTER3 アフリカのジャングルとサバンナで生まれる子どもたち
CHAPTER4 オーストラリアの乾いた大地と海辺で生まれる子どもたち
CHAPTER5 ヨーロッパの森林と水辺で生まれる子どもたち
CHAPTER6 アジアの熱帯雨林と高山地帯で生まれる子どもたち
CHAPTER7 極地で生まれる子どもたち
CHAPTER8 世界の海で生まれる子どもたち
『またあした』
動物の子どもたちが暮らす世界
本書で取り上げた小ばなし
INDEX
PHOTO CREDITS
奥付
表紙の親子の写真でもわかるように、とても愛らしい写真ばかりで、眺めるだけでも癒されます☆
赤ちゃんなので、みんな可愛いのですが、赤ちゃんでもかなり怖い顔のアメリカアリゲーターや、おむつをしているような姿なのに鋭い目つきでこちらを睨むアナホリフクロウなど、珍しい写真や面白い写真もいっぱいあります。
そして「ナショナルジオグラフィックの動物写真図鑑」らしく、超美麗写真とともに、「へえー」な知識もたくさん掲載されていました。その一部を紹介すると、次のような感じ。
「CHAPTER2 南米のアマゾンや高山地帯で生まれる子どもたち」からは……
・「ナマケモノは動きがとてもゆっくりなことで知られています。しかし、本当に“なまけ者”というわけではありません。草食のため活動するエネルギーをあまりとれないのです。またナマケモノが食べる硬い葉は、消化に時間がかかります。消化を助ける胃袋を4つ持っていますが、1回の食事で食べたものを消化するのには、なんとひと月もかかります。これがナマケモノの動きがゆっくりである理由です。」
・「爬虫類は子育てをしないため、赤ちゃんは親に頼らず自分でえさを捕らなくてはなりません。」
「CHAPTER4 オーストラリアの乾いた大地と海辺で生まれる子どもたち」からは……
・「暗い夜に飛ぶコウモリを怖がったり、不気味で縁起が悪いと考える人もいますが、実際は害虫を食べることで人間の助けになる動物です。例えば小さなホオヒゲコウモリは、一晩で400頭以上のカを食べます。」
・「大人のヒクイドリの足には、長さ10cmの短刀のようなかぎ爪があります。通常は茂みをかき分けて進むのに使いますが、天敵のディンゴやワニに襲われるとかぎ爪を使った素早い一撃で切り裂きます。そのためヒクイドリは、世界で一番危険な鳥と呼ばれることもあるのです。」
・「カモノハシは出産の方法も変わっています。哺乳類にもかかわらず卵を産むのです。これは世界中でもカモノハシとハリモグラだけです。出産のときがくるとメスは水辺に掘った巣穴にこもり、入り口をふさぎます。卵が生まれると、尾で体に押し当てて温めます。」
「CHAPTER7 極地で生まれる子どもたち」からは……
・「ホッキョクグマは冬眠をしません。冬の荒れた天気でも、アザラシの漁を続けます。母グマが巣穴で冬ごもりをするのは、出産のためです。秋にできる限りたくさん食べて体重を増やして冬ごもりの準備をし、冬ごもり中は生まれた赤ちゃんが外を歩けるようになるまで蓄えた脂肪で生きます。ホッキョクグマの母親な長いときでは8か月も飲まず食わずで過ごします。」
「CHAPTER8 世界の海で生まれる子どもたち」からは……
・「(前略)フグの母親は子守りをしませんが、赤ちゃんは母親からもらった贈り物を身につけています。それは体の表面の毒。フグの赤ちゃんは敵に飲み込まれても、この毒のためにすぐに吐き出されて生きのびるのです。」
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もちろんこの他にもたくさんの解説があります。
でも何といっても、この本の素晴らしいところは、世界中の可愛い動物の赤ちゃんの写真が見られることです☆
ただ……赤ちゃん写真だけしか載っていないものが多いので、成獣になったときにはどんな姿になるのか、この本だけでは分からないことがあります。
例えば、ふかふかの小ヤギの赤ちゃんみたいなアメリカバイソンの赤ちゃん。バイソンは巨大な生き物だということをすでに知っているので、へえー、赤ちゃんのときは、こんなに可愛いんだ! と驚きましたが、知らない人にとっては、ふーん……で終わってしまいそう。赤ちゃん写真だけでなく、小さいものでいいので成獣の写真も添えてあると、もっと良かったのになーと感じてしまいました。
また、この写真図鑑は「詩」や「昔話」が多めなのですが、これらは科学的解説と整合性があるかどうか不明なので、もっと少ない方がよかったように思います。図鑑としては、ちょっと中途半端な感じがしました。
それでも赤ちゃん写真がとても素晴らしくて癒されるので、みなさんにも、ぜひ眺めてみて欲しいと思います☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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