『君にもできる刃物犯罪対処マニュアル: 元特殊部隊隊員が教える危機管理と護身術入門』2022/7/12
SOU (著), 二見 龍 (著)

 刃物犯罪から身を守る方法を、元特殊部隊隊員と元陸上自衛隊幹部が紹介してくれる本で、内容は次の通りです。
第1章 犯罪リスクの整理と犯罪にあわないための準備
第2章 犯罪に巻き込まれたときの対処
第3章 効果的な防犯訓練
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 日本で検挙された殺人事件の犯行供用物の半数以上を包丁・刃物類が占めているそうです(平成10、15、20、23年調べ)。大阪の池田小学校を襲撃した附属池田小事件、秋葉原で起こった秋葉原通り魔事件、川崎市の園児を狙った川崎市登戸通り魔事件など、日本中に衝撃を与えた刃物犯罪も少なくありません。どこでも買えて手に入りやすい「刃物」は、強盗、猥褻、怨恨、テロリズムなど、あらゆる犯罪目的のために使用される武器にもなります。自分がいつ、どこで刃物犯罪の被害者になってもおかしくないのが現実……刃物犯罪から身を守る方法は、覚えておいて損はないと思います。
 個人的に、最も参考になったのは、「はじめに」にあった次の文章でした。
「(前略)刃物対処の経験を積んだ人間のほとんどは、戦うと決めた瞬間にある程度のケガを負うことを覚悟します。これは刃物を持った犯人と相対する場合に無傷で済むケースは少ないからで、とにかく致命傷を受けることだけは防ぐようにするということです。」
 ……やっぱり刃物を持った犯人に襲われたら、無傷で済むはずはないと覚悟を決めるべきなのでしょう。そんな時には、まずは全力疾走で逃げ、逃げ切れなかった時には、とにかく致命傷を受けないよう、内臓、首、手首、内股などを防御することを心がけようと思いました。

「第1章 犯罪リスクの整理と犯罪にあわないための準備」としては、「身の回りのリスクを書き出す」とか、「防犯マップづくり」とか、「ベースライン(日常の暮らしの基準)を乱す波紋(違和感)を見逃さない」などの他、「自宅(戸建て)の防犯(死角にドアをつくらない、窓に防犯フィルムを貼る、防犯カメラをつける、周囲に砂利をしく)」や、「自宅(集合住宅)の防犯(不用意にドアを開けない、他人とエレベーターに乗らない(乗ってしまったときは警報ボタンの近くに壁を背にして立つ))」など、さまざまな防犯情報を知ることが出来ました。
 また「第2章 犯罪に巻き込まれたときの対処」では、犯罪にあったら、次の順番で対処することが書いてありました。
1)サウンドオフ(大声で周囲に知らせる)
2)逃げる
3)通報する(通報中は無防備になりやすいので、安全な場所に逃げられた後で行うこと)
4)隠れる
5)防御
6)戦う
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 なお「サウンドオフ」では、叫びながら犯人と距離を取り、犯人を指さして「ナイフ、ナイフ!」とか「ガン、ガン!」と、所持している武器の名前を叫ぶとよいそうです(叫ぶと自分に周囲の注意が集中しがちですが、周囲の人に注目して欲しいのは犯人の方なので)。
 この他にも、ナイフを持っている犯人との間に、机や椅子を入れるようにするとか、本やパソコンを盾にするとよいとか、複数人がいる場合は、誰かが注意をひいて他の人が犯人を攻撃するというチームワークが大切とか、実践的に役に立つ情報がいろいろ書いてありました。
 また犯人と不幸にも対峙してしまったときは、ぜったいに勝つという強い気持ちが大切だそうです。
「街中で刃物を振り回し、人を傷付けようとするような犯罪者は、理論的に説得しても攻撃をやめたりしない。それを理解するくらいなら、はじめからそんなことはしない。こうした犯罪者には常識や善悪、損得といった一般的な判断基準はなくなってしまっていると考えるべきである。そうした相手に対し、情け容赦は無用だ。」
 そして「第3章 効果的な防犯訓練」でも、「子どもと一緒に通学路など、いつも通る道を家族で歩いてみる」とか、「さすまたは必ず複数人で使う(一人だけだと、さすまたを犯人に奪われて、かえって危険なこともある)」とか、とても参考になる情報が満載でした。
 ナイフを持った犯人と対峙するような状況に陥らないことを祈りたいと思いますが、防犯情報として知っておいて損はない情報ばかりだと思います。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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