『神秘的で美しい石図鑑』2022/8/1
宮脇律朗 (監修), 須田布由香 (著)

 美しいフルカラー写真とともに、石の名前の由来、特徴、伝承などをやさしく解説した入門書で、121種の石が厳選され、9系統の色に分類して掲載されています。
 石ごとに、結晶系、比重、硬度、鉱物名、主要化学成分、化学組成、光沢、劈開、条痕などの詳細データも掲載されている、まさに『神秘的で美しい石図鑑』。美しい石が、解説付きで多数掲載されているので、眺めているだけでも楽しいです。
 驚かされたのが、水晶(石英)のバリエーションの多さ! 水晶には仲間として、アメシスト(紫)、シトリン(黄)、スモーキー・クォーツ(煙)、ローズ・クォーツ(ピンク)などがあることは知っていましたが、その他、かなり変わった色の石だなーと目を引かれた鉱物名に「石英」のものがとても多かったのです。その一例をあげると以下のような感じ(ここで紹介した解説は、ごく一部を抜粋したもので、本文ではもっと詳しい説明があります)。
・ハマーキーダイヤモンド(無色):「ダイヤモンドのような輝きを持つこの表面は、地層の中に含まれるコールタール(石炭を高温乾留する際に生成される油状物質)のような成分に包まれて結晶が大きくなったためとのことです。」
・エレスチャル・クォーツ(無色・白):「水晶の成長の跡が年月とともに木の年輪のように重なり、それが結晶の内部に階段状の紋様として見ることができます。この紋様は、結晶の成長とともに結晶の内部に取り込まれた石英とは別の物質、たとえば別種の鉱物や太古の水によるものです。」
・タイガーアイ(黒・茶):「角閃石の一種の青石綿(クロシドライト)にシリカ(酸化ケイ素)成分が染み込んで、青石綿の繊維状結晶を置き換えてその形状を保ったまま石英として析出し硬くなったものです。青石綿に含まれた鉄が酸化して褐色に染まっています。」
・ペトリファイドウッド(黒・茶):「地中に埋もれた太古の樹木に、ケイ酸が浸透し悠久の時を経た木の化石です。」
・モリオン(黒):「漆黒と言ってもよい暗褐色の光を通さない水晶をモリオンと呼びます。(中略)自然界に存在する放射線の影響を受けて形成される石です。」
・アゲート(グレー):「カルセドニーの一種で、縞模様のあるものを指します。主体は水晶と同じ、二酸化ケイ素のクォーツ(石英)ですが、水晶のように目に見えるほどの結晶に成長せず、微細な結晶が密集して塊を作っています。着色は、石英の粒子の間に存在する有色の鉱物微粒子によるもので、この介在物の色が反映され、灰色や褐色などの縞模様を織りなします。」

 時計やパソコンに使われているクォーツ(水晶振動子)でも知られている水晶は、宝石としても凄かったんですね……。
 そしてもちろん高価なダイヤモンド、サファイヤ(ルビー)、エメラルドなどのいわゆる「宝石」もたくさん掲載されています。
 さらに次のような珍しい石たちも。
・セレナイト:石膏のうち無色透明なものをセレナイトと呼ぶ。
・アズライト:岩絵の具の群青色の原料になる。化学変化して次第に緑色(孔雀石と同質物)に変質する。群青の岩絵の具で描かれた作品の保存には注意が必要。
・ウェイベライト:アルミニウムを主成分とするリン酸塩鉱物で、針のように細長い結晶が放射状に集まり、球状や半球状の塊となり、その断面は花火のような模様をしているのが特徴。
・モルダバイト(天然ガラス):1500万年程前、遥か昔に隕石が地球に衝突した際に、地球外由来の物質と地球の物質が融解して形成されたと言われている。
・セブタリアン:石灰質の泥岩のノジュールに生じたひび割れを炭酸カルシウムの鉱物が充填した石で、ハニーゴールド色のカルサイトに、茶色のアラゴナイトの線が見られる。
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 この他にも鉱物の生成過程などの基礎知識や、実際に石を見ることができる博物館、誕生石の紹介などもあり、これらもとても参考になりました。
 石の図鑑としても利用できますが、すべての石が掲載されているわけではなく(鉱物は5800種近くあるので掲載は不可能です)、花こう岩や安山岩などごく一般的と思われる石も掲載されていません。「神秘的で美しい石」が選ばれているようです。(ただし珊瑚や真珠など有名な宝石の一部は、誕生石では紹介されていますが、残念ながら本文では解説されていませんでした。)
 色別に並べられていて、特に冒頭のプロローグに選ばれている石たちは、写真も大きくて美しいものばかり……眺めていると癒されます☆ (もちろん本文にこれらの石の詳しい解説もあります。)石や宝石に興味のある方は、ぜひ眺めてみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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