『ひとりで探せる 川原や海辺のきれいな石の図鑑』2015/9/18
柴山 元彦 (著)

 水辺で見つかる色とりどりの鉱物・宝石を、見比べやすい原石のままの姿で紹介してくれる石さがしガイドブック。柴山さんが長年の石探しの経験を活かして、石探しをしやすい全国23ヶ所のスポット地図つきで紹介してくれる上に、各スポットごとに、見つかりやすい鉱物や探す際のポイントも解説してくれます。実際に川原や海辺で探すときには、ひと目でそうとはわからないような石や粒ばかりがほとんど。母岩を割ってみたり、川砂利を漉してみたり、磁石で集めてみたり……見つけ方のコツも教えてくれます。
 第一部は「川原や海辺で見つかる鉱物」の鉱物図鑑 34種で、次の鉱物が写真などとともに解説されています。
1.ガーネット(柘榴石)、2.サファイア、3.ルビー、4.トルマリン(鉄電気石)、5.水晶、6.石英、7.玉髄、8.ジャスパー(碧玉)、9.オパール、10.翡翠、11.琥珀、12.砂金、13.自然銅、14.磁鉄鉱、15.黒雲母、16.白雲母、17.菱マンガン鉱、18.クジャク石、19.蛇紋石、20.かんらん石、21.菫青石、22.紅柱石、23.針鉄鉱、24.黄鉄鉱、25.黄銅鉱、26.班銅鉱、27.方鉛鉱、28.角閃石、29.緑閃石、30.緑泥石、31.緑簾石、32.紅廉石、33.褐廉石、34.鶏冠石
   *
 驚いたのは「ガーネット」がとれる川原がたくさんあったこと! 次のように書いてありました。
「1月の誕生石であるガーネットはいろいろな石に含まれる。花崗岩、片麻岩、安山岩、溶結凝灰岩、結晶片岩、エクロジャイトなどの火成岩や変成岩に含まれる他、堆積岩である砂岩にも細かなガーネットが含まれることがある。このようにガーネットは多くの石に含まれるため、川原に出た時にはまずガーネットがないか探してみよう。見当たらない場合でも、川原の石をパンニングしてみると、ガーネットが見つかることがある。」
 なおパンニングとは、大きな皿(パン)に川砂を入れ、水の中でゆすりながら少しずつ砂を流し、比重の大きい金などを残す方法です。
 もっとも、この本で紹介されているガーネットはほとんど砂粒のような大きさで、「宝石」にできるほどのサイズのものがとれるわけではないようです。
 それでも素人が川原で見つける対象としては、ガーネットや砂金が最も有望なように感じました。というのもガーネットは「赤い」し、砂金は「金色」だから、他のものと区別をつけやすいからです。
 実はかつて翡翠で有名な糸魚川に行ったとき、本書にも紹介がある姫川にちょっと立ち寄ったことがあるのですが、川原の石が翡翠かどうか、まるで分かりませんでした。緑の翡翠(っぽい石)はまったく見当たらなかったのですが、翡翠は「白色が基本であるが、クロムが混じると緑色に、チタンが混じると青紫色になる」そうで、地元の石屋さんでも白い翡翠がたくさん売られていたのです。川原に白い石はたくさんありましたが……そもそも翡翠の判断方法が分からなかったので、見つけることはできませんでした……そういう意味で、白や灰色、黒などのありふれた色の石は判断がつきにくいと思います。
 なお本書によると、「翡翠は非常に硬いのでナイフでも傷がつかない」そうなので、川原で「これかも……」という石を見つけたら、ナイフで傷をつけてみるといいかもしれません。
 この本には、身近なもので硬さを判断する方法も、次のように紹介されていました。
「硬さは、身近な方法では爪やナイフで傷がつくかどうかで判定できる(カッコ内は目安の硬度)。
 爪(2.5)、10円硬貨(3)、鉄くぎ(4.5)、ガラス(5.5)、ナイフ(6)」

 そして第三部はいよいよ「鉱物の見つかる川原や海辺」。次のような場所が紹介されていました(地図や交通のガイドもあります)。
<採集スポットと見つかるおもな鉱物 全国23ヶ所>
1.北海道 宇曽丹川(砂金)
2.秋田県 荒川(水晶)
3.宮城県 登米沢(砂金)
4.新潟県 姫川(玉髄)
5.富山県 宮崎海岸(翡翠)
6.石川県 大杉谷川(オパール)
7.福井県 足羽川(砂金)
8.静岡県 土肥海岸(ジャスパー)
9.静岡県 天竜川(ガーネット)
10.三重県 櫛田川(鶏冠石)
11.京都府 木津川(紅柱石)
12.大阪府 大和川(ガーネット)
13.奈良県 室生川(ガーネット)
14.奈良県 竹田川(ガーネット・サファイア)
15.和歌山県 紀ノ川(緑泥石)
16.兵庫県 加古川(砂金)
17.島根県 桂浜(玉髄)
18.広島県 木江海岸(大理石)
19.愛媛県 関川(ガーネット)
20.徳島県 吉野川(緑泥片岩)
21.大分県 黒ヶ浜(蛇紋石)
22.熊本県 氷川(緑泥石)
23.鹿児島県 川尻海岸(かんらん石)
 ……なかでも有望に思えたのは、「14.奈良県 竹田川」。ガーネットがたくさんある上に、ここのガーネットはネオジム磁石にひっつくので、それを利用して集めることもできるそうです。
 とても使えそうな『ひとりで探せる 川原や海辺のきれいな石の図鑑』でした。この他にも、集めた鉱物の見分け方や、そもそも鉱物がどのようにできるのかという地学講座、持ち帰った石の磨き方など、石探しの基礎的な解説もあります。
 身近な川で拾えるかもしれない「きれいな石」。上記の川の近くに住んでいる方は、トライしてみてはいかがでしょう。夏休みの自由研究にも使えるかもしれません☆
   *    *    *
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>