『こどもが探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑』2018/8/10
柴山 元彦 (著), 井上 ミノル (著)
40種の鉱物図鑑と、子どもを連れて行きやすい全国の石の採集スポット20ヶ所を紹介してくれる本。水辺で見つかる色とりどりの鉱物・宝石を、現地で見くらべやすい原石のままの姿で紹介してくれる石探しガイドブック『ひとりで探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑』のこども版です。
本書の特徴は次の通りです。
1)マンガやイラスト(フルカラー)がたっぷり
鉱物のできる仕組みや、実際の石探しの手順など、ちょっと難しそうなことも、マンガやイラストをまじえてやさしく説明くれて、初心者にも分かりやすい。
2)子連れでも安心の石探しスポットをセレクト
最寄りの交通機関から近いところなどを中心に、子どもを連れても出かけやすい石探しスポットを日本全国から20ヶ所選んでくれました。
3)石探しスポットの紹介マップは、適度にディフォルメしたイラストで、目的地までの目印をわかりやすく表しています。
4)自由研究にも使えます
第2章で「鉱物のしくみやをどのようにできるか」、第4章では、「川原や海辺で拾った石の磨き方、写真の撮り方、まとめ方、自分だけの鉱物図鑑の作り方」を教えてくれるので、夏休みの自由研究にもぴったりです。
さて、川原や海辺で見つかる石としては、ガーネットや砂金、ひすいなどの他、オパールなどもあるそうです。うわー、宝石じゃん、そんなのが川原や海辺で拾えるの? とドキドキしていまいますが、どうやら小さいものばかりのようです(笑)。石の中に小さい粒として入っているものも多い感じ。ちなみにオパールは、宝石で売られているものは色とりどりですが、日本で見つかるオパールのほとんどはミルク色だそうです。「オパールはこまかい球のかたちになった石英があつまってできたものです。そのつぶの大きさや並び方によって、ミルク色に見えたり、遊色という虹色のように見えることがあります。(中略)多くは流紋岩の中に入っていますが、温泉の沈殿物としてオパールができている場合もあります。」と書いてありました。実際に温泉の沈殿物から採取したというミルク色にオレンジ色が挟まっている石の写真がありました。とても綺麗です。でも……白い温泉の沈殿物の中に、ミルク色の石があっても……オパールかどうか分からないような気が……(苦笑)。
えーと、第3章では「採集ガイド」として、採集にふさわしい服装や持ち物の一覧が載っていました。服装はトレッキングなどとほぼ同じで、持ち物は、地図、デジカメやスマホ、軍手、タオル、スコップ、ルーペ、ふるい、パン(平皿)、ビニール袋、雨具などだそうです。
あると便利なものとしては、スマホ用マイクロスコープやハンディ顕微鏡も。石の中に小さなガーネットなどが含まれていることがあるので、それを顕微鏡で拡大してみると、肉眼で見るより分かりやすいようです。
また比重の違いを利用して砂金などをより分ける「パンニング」に使う平皿は、お店で買うと数千円するそうですが、100円ショップで買える園芸用の平らなプラスチック皿の低い壁部分に、障子などのすき間をふさぐテープを貼ったものでも代用できるのだとか(作り方がイラストで紹介されています)。
そして実際に子どもたちといっしょに行った「室生川(奈良県)」でのことが、マンガになっていました(パンニングの仕方の詳しい解説もあります)。砂の中にガーネットの粒が混じっている写真もあります。……ガーネットは赤いから子どもでも見つけやすそう。
また「菅田川(岐阜県)」には、かつて蛍石の採掘が行われていた笹洞鉱山があり、「ほたる石鉱山ミネラルハンティングガイドツアー(要予約・有料)」をしているそうです。ほたる石は紫外線ライトをあてると青く光るそうなので、見つけやすそうだし楽しそう。ガイドさんに案内してもらえると安心だし。初心者の方は、こんなツアーに参加するのもいいかもしれません。
さらになんと山口県の有名観光地・「錦川」の錦帯橋そばの川原でも黄鉄鉱、菫青石、水晶、菱マンガン鉱、緑泥石などが見つかるそうです! 素晴らしい錦帯橋を眺めながらの宝石探し! 思わずわくわくしてしまったけど……ここで見つけられる石はかなり地味で石ころにしか見えず……残念ながら識別が大変そうでした……。
これらの石採集の旅は、夏休みの自由研究にもよさそうです。「石を拾った場所の写真をとっておく」、「石や鉱物にラベルを貼る(鉱物名・採集場所・採集日)」、「石や鉱物をケースにしまう(お菓子の箱や100円ショップの仕切り箱などを利用)」、「自分だけの図鑑を作る」など、この本で教えてもらえることをきちんと実行すると、発表用の資料作りがうまく出来ると思います。
『こどもが探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑』でした。親子で楽しめて、夏休みの自由研究(勉強)にもなる採集旅行のガイドブックとしても使えます。ぜひ一度、眺めてみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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