『SNS別 最新 著作権入門: 「これって違法!?」の心配が消える ITリテラシーを高める基礎知識』2022/8/16
井上 拓 (著)

 クリエイターの人だけでなく一般の人もSNSで発信することが簡単になったため、誰もが著作権がらみの被害者にも加害者にもなり得る時代。著作権上グレーになる行為は多々あり、企業や官公庁が行うと炎上することも……。さらに、SNS各社のガイドラインや利用規約にも従う必要があります。この本は複雑な著作権の世界を、イラストなどを使って分かりやすく解説してくれます。巻末には、各社の利用規約のチェックしたいポイントもまとめてあり、内容は以下の通りです。
巻頭 著作権を学ぶための基礎知識
1章 著作権って何?
著作権の種類1「著作財産権」
著作権の種類2「著作者人格権」
著作権はいつまで保護される?
Cマークの使い方
違反にならない利用法1 私的複製
違反にならない利用法2 引用
違反にならない利用法3 付随対象著作物の利用(写り込み等)
著作権まわりの法律1「著作隣接権」
著作権まわりの法律2「肖像権とパブリシティ権」
著作権まわりの法律3 「プライバシー権と個人情報」
著作権まわりの法律4「商標権」
著作権フリー素材の使い方
著作権を正しく利用するには
著作権の権利侵害が起こったら
Column SNS時代の著作権法改正1-海賊版対策-
2章 SNS投稿の気になる事例を解説!これってアウト?セーフ?
法律以外に守るべき規範
利用規約やガイドラインとマナーやモラル
SNS投稿の気になる事例(22例)
column SNS時代の著作権法改正2-写り込みの権利制限規定-
3章 SNSで正しく著作物を扱うために知っておきたいこと
他人の著作物を利用したい時は?
著作者が利用を認めてくれているケース
SNSにアップした著作物を「利用したい」と言われたときは?
コンテスト等の応募作品の著作権
炎上してしまったときの対処法
Column SNS投稿の炎上リスク
自分(自社)の著作物が勝手にアップされていたときは?
著作権侵害の損害額はどのくらい?
SNS別 利用規約・ガイドラインの抜粋
著作権の支分権
索引

 著作権法は、「作った人」だけでなく、著作物を「広める人」の権利も守っている法律だそうです。
「巻頭 著作権を学ぶための基礎知識」によると、例えば、絵を描いて欲しいと依頼した人が、その絵の所有権を取得しても、著作権は画家に残るのだとか。依頼者がお金を払ってられるのは、原則として物理的な絵の所有権で、絵の著作権は著作者である画家に残るのです(なお、著作権を自分のものにしたいなら、著作権を譲ってもらう合意が必要です)。
 そして創作的な表現は、幅広く著作物になるのですが、「事実をまとめたニュース記事やデータ」や「単なるアイデア」は著作物ではないそうです。意外にも「料理のレシピや手芸の作り方」も著作物でないのだとか! これらは「アイデア」だそうです……そうだったんだ……。
 そして著作権は、「どこかに申請や登録をしなくても、作品を創作するだけで発生する権利」で、著作物が生まれた瞬間に、「著作財産権」と「著作者著作権」の2種類が同時に発生するそうです。
 自分の著作権が侵害されたとき、著作者は次の4つの権利を主張できるそうです。
1)不法行為に対する損害賠償請求権(算定規定もあり)
2)不当利得返還請求権
3)差止請求権
4)名誉回復措置請求権
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 それでも「許諾なく著作物の利用ができる」こともあるそうで、それは次のような場合だとか。
1)私的複製(家族内での利用のためにコピーする、など)
2)引用(自身の著作物内で、説明や補足のために他人の著作物を用いる)
3)写り込み(撮影などの対象になる主体と一緒に他のものが少しだけ写ってしまう)
4)その他(図書館における複製、教科書図書等への掲載、試験問題としての複製など)
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 なるほど……。ちなみにこのサイトでも行っている「読書感想」でも著作物を扱いますが、「引用」や「写り込み」の範囲内で行っていれば、問題がないそうです。
 例えば、本の表紙写真の場合は、「本の表紙写真がメインではなく、自分の感想の補足として使用しているなら「引用」にあたる」そうですし、本の文章などの内容を紹介する場合も、「明瞭区別性(自分のものと他人のものを区別している)」、「主従関係(自分の感想文がメイン)」、「正当な範囲(引用に必要性がある)」、「公正な慣行に従っている」ことを守っていればOKなのだとか……これらのことを遵守したいと思っています。
 この他にも、「歌ってみた動画」などは他人の音源を利用しない限り、ほとんどの場合OKで、なんと歌詞を字幕として流してもOKだそうです。
 またテレビやラジオ、街で流れている音楽も、軽微なものなら音や映像の「写り込み」としてOKなのだとか(だたし写り込んだものがメインになるとNG)。
 さらに投稿のリツイートやシェア拡散に関しては、SNS公式のシェア機能を使わないと著作権侵害になるリスクがあるので注意が必要だそうです。違法になるシェア行為としては、「他のSNSへのシェア」、「スクショを撮ってシェア」、「公開範囲が決まっている投稿をシェア」などがあるのだとか。
 また友人の写真を投稿する場合などは、肖像権に注意すべきでしょう。肖像権・パブリシティ権とは、自分の顔や容姿を勝手に撮影されたり、公表されたりしない権利です(その人が写った写真を公開する場合は、本人の同意が必要)。
 などなど……著作権について総合的に解説してくれる本でした。この他にも「炎上してしまったときの対処法」や、「SNSで著作権侵害を発見したときの対処法」など、参考になる情報をたくさん知ることが出来ます。SNSで投稿することが多い方は、知らないうちに著作権法違反をしてしまった……ということがないよう、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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