『ニュートン式 超図解 最強に面白い! ! 人体と細胞』2022/6/17
田沼 靖一 (監修)

 人体で活躍する個性豊かな細胞たちについて、イラストを使って分かりやすく教えてくれる本で、内容は次の通りです。
1.ヒトの細胞の基本構造
2.人体の多種多様な細胞たち
(受精卵、皮膚、気管、肺胞、胃、小腸、肝臓、膵臓、腎臓、精巣、卵巣、目の網膜、耳、筋肉、骨、血液、脾臓、免疫細胞、神経細胞、ホルモンをつくる細胞、幹細胞、など)
3.細胞の老化とがん化
4.よそもの細胞、常在菌
   *
 ヒトの成人の体には、およそ37兆個の細胞があるそうです。しかも37兆個の細胞は、どれも同じというわけではありません。ヒトの体の細胞は、数百種類に分類できるといわれています。皮膚で刺激を感じとる細胞、胃で塩酸を噴きだす細胞、伸び縮みする筋肉の細胞、目で光をとらえる細胞……体の異なる場所にあるさまざまな細胞が、それぞれの役割を果たすことで、私たちの命は支えられているのです……考えてみると、驚くほど見事な仕組みですよね!
「1.ヒトの細胞の基本構造」には、次のように書いてありました。
「ヒトの細胞は、その種類にもよりますが、大きさはおおむね0.01ミリメートル程度です。」
「細胞の主な成分は、水、タンパク質、脂質、炭水化物、核酸などです。このうち最も多いのが水で、ヒトの場合はおよそ65%を占めています。」
 そしてヒトの体全体では、毎日3000億から4000億もの細胞が死んでいるといわれているそうです! 血液の赤血球は3か月ほどで、皮膚の表皮の細胞は2~4週間で寿命をむかえるのだとか。すごく活発に新陳代謝してくれているんですね。
 ここでは、「ゴルジ体の役割は、物質の物流センターのようなもの」という比喩がとても分かりやすいと思いました。
「ゴルジ体は、タンパク質を仕分けして、そのまま細胞膜へ向かわせるタンパク質は小胞につめこみ、待機させる分泌タンパク質(ホルモンなど)は分泌小胞につめこみます。」なのだとか。
 またDNAは並行にならんだ2本のひも(そのうち意味を持つ領域が遺伝子)ですが、それが、からまないのは、
「DNAは「ヒストン」というタンパク質に巻きつけられ、「クロマチン」という繊維状の構造になって、核の中におさめられています。長いDNAがからまることがないのは、この構造のためです。」だそうです。
 こんな感じで、人体の細胞のことを、とても分かりやすく解説してくれます。
「2.人体の多種多様な細胞たち」では、たった一つの受精卵が、いろいろな細胞へ変化することについて、次のように書いてありました。
「細胞の分化がおきるとき、少数の例をのぞき、細胞の核にある遺伝情報はかわりません。分化した細胞の一つ一つには、ほぼ同じ遺伝子がおさめられています。それにもかかわらず、細胞が分化していくのは、それぞれの細胞で、活発にはたらく遺伝子の組み合わせがことなっていくためです。」
 なるほど……。
 また情報を伝達する神経とホルモンについての次の説明も、とても参考になりました。
「細胞から分泌され、血管を通ってある特定の細胞に影響を与える物質を、「ホルモン」といいます。ホルモンは神経とことなり、血液にのって全身を移動していきます。そして、ホルモンが結合する「受容体」をもつ細胞だけが、その情報を受け取ることができます。
 神経とホルモンを比較したとき、神経を有線電話にたとえるならば、ホルモンは電波放送だといえます。」
 ……人間の細胞について、総合的に知ることが出来て、とても勉強になりました。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
   *    *    *
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>