『立体の模様を作る 彫刻切り絵』2022/4/8
輿石 孝志 (著)

 図案の異なる紙を何枚も重ねることで彫刻のような一枚のデザインが完成する新しい切り絵の本です。
 彫刻切り絵とは……
「紙を重ねて立体感を出した切り絵作品です。使うものは紙のみ、模様にカットした紙を重ねて立体感を作ります。重ねる枚数は図案によって違い、5枚のものもあれば100枚を超えるものまであります。この本では最高17枚までの作品を掲載しています。
 1枚1枚は模様になっているものもあれば、それだけでは何かわからないものもあります。それらが重なった時に彫刻のような立体感のある模様が生まれます。正面からだけでなく上下斜めからも見て楽しんでください。(後略)」
 ……重ねることで生まれる立体感や陰影の美しさ、線の交差や重なりによる目の錯覚までも楽しめます。
 こんな作品が本当に出来るの? と驚くような繊細さですが、時間をかけて丁寧に作れば、そんなに難しいわけではないようです(根気と器用さが必要ですが……)。(なお表紙の作品は、この本に作り方は載っていませんが、それに近い感じの作品はあります。)

 線の重なりやうねりが楽しめる作品や、レースを重ねたような作品、エキゾチックなイメージの作品や、数学的なイメージの作品、さらにはステンドグラスのような作品など、とにかく素敵な作品ばかりです。
 全21作品の型紙に加え、1作品の切ってそのまま使える厚紙の型紙付きです(この「切ってそのまま使える厚紙の型紙」は、嬉しいことに本書内にちゃんと同じ図案があるので、切ったら図案がなくなるという心配もなく、安心して切ることができます。)
 使う用紙は、なんと「画用紙、ケント紙など、どんな紙でもかまいません」なのだとか! 実際に本書で紹介されている色付きの作品は、100円ショップの画用紙を使っているそうです。また一部の作品には、スワロフスキーなどのビーズが使われています。
 道具についても、デザインカッター(先のとがったもの)などの解説があります。
 作品の作り方は、原則として「型紙のとおりに紙を綺麗に切って」、「指定通りに重ねて貼る」だけという単純さですが、とてもいいなと感じたのが、「アレンジの方法」も教えてもらえること。
「アレンジ1」は、「順番を混ぜる」方法で、図案によっては2つを混ぜたり、上下を入れ替えて楽しむことが出来ます。
「アレンジ2」は、「陰影の効果」をつける方法で、立体感を出すために「枠」だけの単純なパーツ(かまし)を、図案パーツの間に重ねて高さをつけること。これによって影ができて、より立体感とメリハリが出来るそうです。
 さらに作品の一部だけ(または全体の)「色を変える」、「ビーズなど小さい飾りをつける」などの工夫をすると、アレンジは無限大だと思います。また中にLEDライトを入れると、ランプとして陰影をたのしむことも出来ます。
 細かいカットが多いので、切り絵が好き(とにかく紙を切るのが好き)な方に特にお勧め。平面ではない、立体感や重なり感を楽しめると思います。ぜひ眺めて、作ってみてください☆
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