『刑事メンタル 絶体絶命のピンチでちびってしまう人でも動じないハートが手に入る!』2021/2/10
森 透匡 (著), 福島 モンタ (イラスト)
刑事生活20年。ガサ入れ、犯人確保、張り込み……修羅場という修羅場を潜り抜けてきた元警部による「心を強く保つ習慣」です。
常に死と隣り合わせの環境下で巨悪と戦い、人を疑い、時には一般人に罵倒されながらも正常な心持ちで戦うために開発してきた、圧倒的自信と活力が楽しく備わる最強メンタルメソッドが「刑事(デカ)メンタル」!
「防弾チョッキ」が心も守る安心グッズとか、ヤクザの事務所に突入するとき「撃っても頭だけは外してくれー」と、その瞬間、オレは覚悟を決めた、とか……普通では絶対に遭遇しないような危険な状況で、どうメンタルを保つかという、まさに「防弾チョッキ」のような鋼メンタルの育み方を、なんとユーモアまで交えて面白く教えてくれるのです。
心に響く言葉をたくさん見つけることが出来ました。その一例を紹介すると次のような感じ。
・「頭が真っ白」は大ピンチであり大チャンス。余計な雑念を捨てて考えろ!(まずは「ゆっくりと深呼吸」)
・相手を格上に感じてしまうときは、先生と生徒の関係に置き換えて話すのだ(相手が先生)
・「やるか、やめるか!」 二択で迷ったら難しいと思うほうを選べ
・起きてしまったことは変えられない。緊急事態は「座る」に限る(深呼吸してから落ち着いて策を練れ)
・常に最悪な状況を想定しているから、この上なく幸せな「今」を感じられる(瀕死の事故にあった人よりはマシ)
・肉体を鍛えることは精神力を磨くことなり。武道で精神を強化せよ!
・プレッシャーは口に出してぶちまけろ。つらい心の内が解放され、楽になるぜ!(弱音を吐くと周囲が少しは応援してくれる)
・忍耐力がなくてめげてしまいがちなら、鑑識の「一点集中術」を身につけろ!(エリアを細分化して集中する。小さなゴールを設定してクリアしていく)
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ところで私自身は、今はかなりメンタルが強くなっていますが、学生時代から新社会人にかけてはメンタルがすごく弱く、ささいな事で毎日クヨクヨしていました。いじめられたくなかったので、「目立たない+八方美人」戦略をとり、幸いあまりいじめの標的にされたことはなかったのですが、それにもかかわらず精神的ストレスに悩まされていました。その多くは自分がやらかした失敗が恥ずかしかっただけなので、かなり幸運な人生だったのかもしれない、と今では思っています。
でも一時、あきらかにいじめ(上司ではありませんでしたが、ほぼパワハラ)の対象にされたことがあり、その時はストレスMAX、クヨクヨMAXになりました。でも、それが続いたある時、周囲の人からの励ましもあって、ふと、いじめを受けたせいで自分自身を傷つけるなんて、すごく馬鹿らしいと考えるようになったのです。毎日帰宅後に悲しいことを思い出してクヨクヨしてばかりいる……こんなのって、あの嫌な奴の思う壺じゃないか!
この「思う壺」をキーワードに、悲しみがみるみる怒りに変わっていきましたが、この怒りで自分を傷つけるのもまた「思う壺」。だからなんとしても、この怒りを自分にプラスになることに変えようと決意したのです。なぜなら「怒り」は強いパワーを持っているので、心の平衡を保つためには、なんとしても消費する必要があるからです。
それでとりあえず身の回りを片づけ始めました。すると……怒りのパワーでみるみる片づいて、目に見えて周囲がきれいに(苦笑)。いいぞ、この要領だ! と勇気づけられ、これ以降はいじめ(パワハラ)を感じるたびに「相手の思う壺」と思って、この怒りのパワーを「ちっ、絶対見返してやる!」とプラスに転換することに。要するに「臥薪嘗胆」へと転換させるようになったのです。すると……相手がどう出てきても、ほとんど気にならなくなり、ムカッときたときは「思う壺」「臥薪嘗胆」を思いだして、むしろ自分の成長パワーへとつなげることが出来るようになりました。考えてみると、あの人は私のメンタルを鋼へ成長させてくれたような気がします(でももちろん今でも嫌いですけどね。幸いすでに無関係な存在ですが……)。(ちなみに「臥薪嘗胆」は、「復讐や目的を達成するために苦労すること」を意味する言葉)
今、私と同じようにパワハラ的ストレスに悩まされている方は、この「思う壺」「臥薪嘗胆」をちょっと思い出してみてください。ちなみに、怒りを自分の成長パワーにつなげるには、まずは身の回りの整理整頓、続いて筋トレという感じに「身体を使ってやる」ことから始めるといいと思います。どちらも「自分を成長」させるための基礎にもなります。本書でも、筋トレには生きる意欲ホルモンのドーパミンを分泌する効果があり、心の健康を保つための良い方法だと推奨されていました。
そして身体が健康を取り戻し、心が落ち着いてきたら、自分の好きなこと・自分に役に立つことを始めましょう。美術や音楽などの趣味でもいいし、資格取得などの学習でも、もちろん「工作」でもいいです☆ キーワードは「ちっ、絶対見返してやる!」です!
この戦略を見事に活用したのが、2022年北京オリンピックでのスノーボードの平野選手。理不尽な謎採点(低得点)への怒りのパワーすら転換させて見事金メダルに! こんなにすぐにプラスに転換できるのは、もちろん平野選手の日頃の心身の「超鍛錬」の賜物ですが、普通の人だって、ゆっくりではあっても、きっとプラスに転換させられると思います。
えーと……この物凄いメンタル強化法『刑事メンタル』を読んで、自分のケースを思い出してしまい、つい長々と書いてしまいました(苦笑)。ごめんなさい。本書の中でも、同じようなケース(パワハラ上司)のことも書いてありました(私よりさらに良い方法で、相手と仲良くなったようです。さすがだ……)。
『刑事メンタル』はメンタルを強めるのにとても役に立つ、心に響く言葉が満載です。すごく勇気をもらえました(こんな超恐ろしい状況よりはずっとマシだ、という意味でも……)。刑事というのは、本当に大変なお仕事ですね。読んでいて、こういう人々が頑張ってくれるので、社会秩序が支えられているんだなーと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
森さんは今では刑事をやめているようですが、今後もこのような活動で、世の中を良い方へ導いて欲しいと思います。ご活躍を期待しています。
メンタルの弱さに悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。何かヒントを拾えるかもしれません。「メンタルが変われば、明るい未来に変えられる!」お勧めです☆
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