『魔法使いの錬金術レシピ: 妖しくて不思議な魔法雑貨の作り方』2021/5/22
さとう かよこ (著)

 ファンタジー世界の魔術に使う道具の作り方、精霊を呼ぶための儀式などを写真やイラストで解説してくれる本です。
 魔法のアイテムは普通、魔術っぽい幻想的な世界観を「演出」するためのものですが、この本で教えてくれるアイテムには、化学反応を利用したものが多いので、本当に「魔法が現実に」なったように感じられるのではないでしょうか。
 例えば、「心の温度をはかるペンダント」は、ヒドロキシプロピルセルロースを使った「液晶(液体と結晶の両方の性質を持っているもの)」を利用して、温度変化を楽しむものです。
「スパイクを調教する試験管」は、磁性流体とネオジウム磁石を使って、磁力線のスパイクを試験管の中で出すもの。
「雪の降る小瓶」は、塩化アンモニウムの晶出で雪を表現していて、「羽が出現する水」は、エタノールと樟脳を混ぜると、温度変化とその勾配によって、いろいろな形の結晶が出るという化学反応を利用しています。
 すごく不思議で素敵なのですが、これらの化学反応系魔法アイテムは、材料を準備するのが大変かもしれません。
 個人的に一番参考になったのは、表紙写真にも4本ある「魔法の杖」。なんと菜箸を材料にして作っているのです。作り方概要は次の通り。
 材料:菜箸、画鋲、グルースティック、シンボルにする鉱物など
 道具:ピンバイス、木工用ボンド、グルーガン、アクリル絵の具、筆
 基本の作り方:
1)菜箸の上部中央にピンバイスで穴を開ける
2)木工用ボンドを少量付けて画鋲を刺す
3)画鋲がすべて覆われるようにグルーガンで溶かしたステックを付け、シンボルを付ける台座を作る
4)グルーガンでお好みのシンボルを接着する
5)シンボルのついた持ち手にあたる部分は太めに、先端は細めになるようにグルースティックを塗り付ける
6)アクリル絵の具を塗る

 これらの材料は手に入りやすいですし、とても幻想的な魔法の杖の作品(13個)も紹介されています。グルースティックを使うと、菜箸に樹皮のような模様を作ることが簡単に出来るんですね☆ これは是非やってみたいと思いました。菜箸ではなく流木を使った「大魔導士の杖」の作り方もあります。
 また「すべてを見抜くとんがり帽子」(魔術師の黒いとんがり帽子)は、作り方説明を見る限り、意外に簡単に出来そう(型紙もあります)。
 板とガラスで作る「魔法標本箱」をたくさん作っておくと、自分のアクセサリーなどを「魔法道具」風に演出するのに役立ちそう。
 この他にも、オーブン粘土を使った「マンドレイク」、ひび割れ塗料を使った「バジリスクの卵」、蛍光グルースティックを使った「蜂妖精の繭殻」など、幻想的で不思議な魔法アイテムの作り方がたくさんありました。
 また、魔法使いの占いに使われる「ルーン石(オーブン粘土で作った丸石にルーン文字を刻んだもの)」を作ると、それを使って実際に占うことも出来ます。(ルーン文字とその意味の一覧表、ルーンクロスによる占いの図表が掲載されています)。
 その他、「魔法陣」、「12星座のシンボル」、「惑星記号」の一覧もありました。
 さらに、魔法料理として、「血のシチュー」とか、青い「クラーケンのマリネ」とか、「先見の眼球ゼリー」とかの作り方も! ……作り方説明を見る限り、本当に食べられる料理のようですが……見た目が……ちょっと……。勇気のある方、好奇心旺盛な方は、ぜひ試してみてください。
 妖しくて不思議な魔法雑貨の作り方を教えてくれる『魔法使いの錬金術レシピ』です。魔法っぽいアイテムが好きな方は、せひ眺めてみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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