『みたい! 知りたい! 博物館はうら側もすごい!』2020/11/17
斎藤 靖二 (監修)

 博物館の展示についてはもちろん、普段はなかなか目にすることのできない博物館のうら側(バックヤードやそこで働く人々)まで知ることができる博物館見学探検の本です☆
 博物館に行くと、説明用のたくさんの模型を見ることが出来るので、工作好き・理科好きとしては、わくわくせずにいられません。こんな模型を作る仕事をしてみたいなーと思ってしまいます。
 この本は、そんな博物館のうら側をフルカラーの豊富な写真とイラストで、詳しく紹介してくれるのです。
 博物館の3つの役割は、1)資料を集めて保管する、2)資料をもとに研究する、3)資料を展示して公開する、ですが、博物館のはじまりは、「博覧会」だったそうです。1872年に、東京の湯島聖堂ではじめて開催された博覧会が、閉会後も展示を続けたことから、日本で最初の博物館とされているそうです。
 そして「博物館の宝物探し(展示品の集め方)」に載っていたのは、「昆虫資料ハンター」と、「植物資料ハンター」、そして「標本のつくり方(はくせい、骨格標本)」など……なるほど……意外なことに工作好きの魂を揺さぶられるほどのものではありませんでしたが、理科好き魂の方では興味津々で読ませて(眺めさせて)いただきました。(もしかしたら工作好きには、博物館よりTV局の大道具・小道具作りの方が向いているのかも?)
 ちなみに、この「標本づくり」では、昆虫をいかに生き生きとした姿に見せるかについて、次のようなコツが紹介されています。
「乾燥した昆虫は足が折れ曲がっていますが、じつは、昆虫のからだは熱湯につけることでやわらかくなり、関節を自由に動かすことが出来ます。この作業で足を広げ、木にしがみついているようにみせることができます。」とのことでした。昆虫採集好きの方は、参考にしてください。
 この他にも、「新種を発見したら、どうするか?(同定・調査研究した上で論文にまとめ、新種として発表する。みとめられるまで数年かかることがある)」とか、「絶滅危機にある生物の保護(例:サンショウウオ保全大作戦)」とか、興味深い記事が満載。もちろん実際の博物館(栃木県立博物館、群馬県立歴史博物館、江東区深川江戸資料館、神奈川県立生命の星・地球博物館、消防博物館、目黒寄生虫館、日本科学未来館)の展示物や、「ひみつの収納庫」もじっくり見せてもらえます。
 フルカラーの写真やイラストで、博物館のうら側を詳しく知ることが出来る本でした。博物館で働く学芸員になるには、どうすればいいのかも教えてもらえます。(大学で学んだ後、1)大学院で学ぶ、2)学芸員補として働く、3)学校の教師になる、の後、博物館の採用試験を受けて合格するとなれるそうです。……やっぱり狭き道ですね。)見ごたえのあるさまざまな写真も満載なので、博物館が好きな方は、ぜひ読んで(眺めて)みてください。(なおこの本は青少年向けの大型本のようで、すべての漢字にふりがながついています。)
   *    *    *
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>