『みるみる音が変わる! ヴァイオリン骨体操』2017/1/25
矢野 龍彦 (著), 遠藤 記代子 (著)
音楽教育で有名な桐朋学園でのスポーツ指導を行ってきた矢野さんと、ヴァイオリニストの遠藤さんが、「骨から動かす」ことにより、楽器の鳴りがよくなり、苦手なテクニックが克服でき、演奏の質が上がる効果が実証されているという「ヴァイオリン骨体操」のやり方をイラストで教えてくれる本です。
「ヴァイオリン骨体操」のもととなっているのは、日本古来のナンバ術。これは「筋肉を無理に使わず、骨をたたむ」という日本古来の所作や古武術に由来した動きを習得することにより、疲れにくく感覚に優れた身体を作り上げるための術です。演奏家のための運動メソッドとしては、西洋のアレクサンダー・テクニークなどが有名ですが、これらが「筋肉で身体を動かす」ものなのに対して、日本古来のナンバ式では「骨を意識して動かす」ので、全身を無理なく上手く運動させられ、楽器の鳴りも良くなるのだとか。
この本では、「まず「12の骨体操」で身体の声を聞きながらバランスを整えることを学び、次に「7つのムーヴメント」で全身を上手く運動させられるようにし、さらにその運動性を生かすことでヴァイオリンの演奏向上につなげていきます。」
「12の骨体操」は、1)骨盤の前後調整、2)骨盤の横調整、3)骨盤の左右方向転換、4)胸郭の調整、5)胸郭を自然体に近づける、6)肩甲骨を開く、7)胸を横・縦に開く、8)卍(まんじ)、9)股関節への刺激、10)膝・足首のバランス調整、11)足裏のバランス調整、12)ストレッチングで、どれも意外に簡単な動きなので、毎日の習慣として取り入れやすいと思います。
また「7つのムーヴメント」の方は、1)ポカポカ駆け足、2)サッサトステップ、3)フワフワ羽ばたき、4)スルスル屈伸、5)ウキウキジャンプ、6)卍(まんじ)返し、7)ブラブラ横振りで、こちらも難しくない運動ばかり。運動によって身体が温まり、動きが滑らかになるので、演奏で疲れにくくなるだけでなく、ヴァイオリンの音も良くなるそうです。しかもこれを楽器練習前の儀式として定着させれば、本番前のルーティン・ワークとしても使えるようになるのだとか。確かに、この運動をすると心も体もリラックスできそうなので、本番前に気持ちを落ち着かせるのに役に立ちそう。もちろん身体も滑らかに動くようになるので、より良い演奏が出来るようになる効果も期待できます。
しかもこの本は、「ヴァイオリン骨体操」だけでなく、ヴァイオリンのテクニックのケース・スタディとして、「弓が自然に持てない」、「ポジション移動&ヴィブラートが滑らかにできない」、「重音がうまく弾けない」、「弓がバタバタする」などの悩みを解決させるための具体的な方法(運動の仕方など)も教えてくれるのです。どの方法も効果が期待できそうなので、試してみようと思っています。
ヴァイオリンを練習している方には、色々な面で、すごく参考になる本だと思います。お勧めです☆
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なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。